2022 Fiscal Year Research-status Report
同位相分類を基盤とした大規模情報のためのホットスポットクラスター評価法の新展開
Project/Area Number |
21K11786
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石岡 文生 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (20510770)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | エシェロン解析 / 空間スキャン統計量 / 空間集積性 / ホットスポットクラスター / shinyアプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,1.提案手法の実データへの適用,2.エシェロン法のwebアプリケーション改良,3.エシェロン法に基づく空間データ構造の指標化,について重点的に研究を行った。 1. 2021年度は,本研究課題の主たる目的の1つである「エシェロン法を基盤としたホットスポット検出のための新手法」について,その新手法を確立するとともに,数値実験等によってその有効性を評価したものを論文で発表した。2022年度は新手法を用いた実データ分析に焦点を定め,実際に日毎・地域毎に収集されたCOVID-19陽性者数に応用を試みた。その結果,従来法では困難であった「大規模データ」に対する「任意形状をしたホットスポット」が「経時的に変化」する様子が捉えられた。その他,各種のCOVID-19に関連した実データに従来法やエシェロン法を適用し,ホットスポットの発現とその要因との関連性等について一定の考察を行った。それら成果を論文(和文誌「統計数理」,欧文誌JJSD)にまとめるとともに,国際学会ECDA2022,国内の学会・研究会で発表した。 2. 公開中のwebアプリケーションに対し,アウトプットされるホットスポット数を任意に設定できるようにした。これは,主に大規模データを扱う場合において,高リスクなホットスポットのみを地図上に表現したい場合に役立つ。本件に関連して,国際学会IFCS2022では,約3000領域からなる米国郡別COVID-19陽性者数に対し,実際に本アプリケーションでホットスポット検出を行う様子を実演した。 3. エシェロン法で得られる空間データ構造の位相的な関係性を「パターン」や「ステージ」といった新しい概念で指標化することを検討した。これは,時間変化に伴う空間データ構造の変化の原因把握に利用できると考える。この成果を論文(和文誌「計算機統計学」)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画の目的①に掲げた,【「大規模時空間データ」に対して「任意の形状をしたホットスポット」を「高速に検出」し、かつ「信頼性の高い」ホットスポットを検出するために、エシェロンスキャン法を基盤とした新手法を確立する】について,今年度はその新手法を実データに応用し,その成果を論文や国内外の学会・研究会において発表したことから,一定の進捗が得られていると考える。また,目的②に掲げた【目的①の手法を実行でき、さらにその結果を対話的に地図上に可視化するソフトの開発と公開】についても,公開中のwebアプリケーションの改善に取り組めており,順調に進捗している。一方で,昨年度の推進方策に掲げた「エシェロン法のプログラムの改善」についてはまだ完成に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の推進方策に掲げた「エシェロン法のプログラムの改善」について引き続き取り組む。これは,研究計画に掲げた「大規模時空間データへの対応」や「webアプリケーション開発」を行っていく上で障壁となる計算コスト問題の改善に直結するものであり,今後の関連研究の効率化に大きく寄与すると考える。
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Causes of Carryover |
本研究課題の初年度(2021年度)は,コロナ禍の影響により多くの学会・研究会が延期やオンライン開催に見舞われたことから,予定していた旅費としての使用が困難となり,それらを次年度に繰り越しせざるを得なかった。2022年度は,対面形式による学会・研究集会等が徐々に再開した事や,研究課題がおおむね順調に進捗したこと等から,当初予定していた以上の国内外の学会・研究会等へ参加できた。そのため2021年度の繰越分の多くは執行できたが,その一部がまだ残っていることから次年度使用が生じている。次年度も引き続き,繰越分については情報収集ならびに成果報告に係る出張旅費としての使用を予定している。
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