2023 Fiscal Year Research-status Report
同位相分類を基盤とした大規模情報のためのホットスポットクラスター評価法の新展開
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21K11786
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石岡 文生 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (20510770)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エシェロン解析 / 空間スキャン統計量 / 空間集積性 / ホットスポットクラスター / shinyアプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は,以下について特に重点的取り組んだ:1.提案手法の実データへの適用,2.提案手法によって検出されたホットスポットの信頼性評価のための新指標の開発,3. 連続量に対する提案手法の適用。 1. 昨年度に達成した成果を踏まえ,本研究課題の主要目的である「エシェロン法を基盤としたホットスポット検出のための新手法」について,今年度はその有効性を実データ分析において検証し,またデータ分析結果を適切に可視化し解釈するための努力を行った。特に,ホットスポットの時間的な変化における解釈と可視化の方法について,新たなアプローチを模索した。なお,実際に扱ったデータは日本におけるCOVID-19陽性者数であり,都道府県別や市区町村別など複数のパターンについて分析を行った。これらの成果を国際学会JGS2023およびIASC-ARS2023で発表した。 2. 「検出されたホットスポットが,真にホットスポットであると言えるか?」を検証することは重要な関心事の一つである。そこで,提案手法で検出されたホットスポットの信頼性評価のための新たな指標の開発に取り組んだ。本研究で提案しているエシェロン法は,データを階層構造で表現し,その階層構造に基づいてホットスポット検出を行う。この特性を利用し,階層構造から読み取れる各領域の位相的な関係を指標に組み込むことに挑戦した。これらの研究成果を国際学会IASC-ARS2023および国内の研究集会で発表した。 3. 本研究で利用する空間スキャン検定は,先行研究において主に「カウントデータ(離散値)」を対象としている。そこで,本研究の延長として,「離散値をとらないデータに対する提案手法の適用」について研究を開始し,まずはシミュレーションによる有効性の検証に着手した。この成果を日本計算機統計学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画の目的①に掲げた,【「大規模時空間データ」に対して「任意の形状をしたホットスポット」を「高速に検出」し、かつ「信頼性の高い」ホットスポットを検出するために、エシェロンスキャン法を基盤とした新手法を確立する】について,昨年度までに一定の成果を挙げることができ,今年度も引き続きその新手法の実データへの応用に力を注いだ。一方で,目的②に掲げた【目的①の手法を実行でき、さらにその結果を対話的に地図上に可視化するソフトの開発と公開】について,昨年度の推進方策に掲げた「エシェロン法のプログラムの改善」についてはまだ着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題である「エシェロン法のプログラムの改善」について引き続き取り組む。今年度は,申請者が公開しているRパッケージに微修正を加えることはできたが,目標として掲げているアルゴリズムの見直しとコードの修正には至っていない。この問題の改善を通じて,「大規模時空間データへの対応」や「webアプリケーション開発」における計算コスト問題の解決が期待され,今後の関連研究の効率化に大きく寄与することが見込まれる。
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Causes of Carryover |
本研究課題の初年度(2021年度)は,コロナ禍の影響により多くの学会・研究会が延期やオンライン開催になり,予定していた旅費としての使用が困難となった。そのため,これらの経費を次年度に繰り越さざるを得なかった。2022年から2023年度にかけては,対面形式による学会・研究集会等が徐々に再開され,研究課題も順調に進捗したことから,当初予定していた国内外の学会・研究会等へ参加することができた。その結果,2021年度の繰越分の多くは執行されたが,一部がまだ残っている。したがって,次年度も引き続き,繰越分については情報収集および成果報告に関する出張旅費としての使用を予定している。
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