2021 Fiscal Year Research-status Report
ネイマン直交性を用いた機械学習と統計的推論を併用した推定理論の時系列解析への応用
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21K11793
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白石 博 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (90454024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 知繁 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 研究員 (30888673)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ランダムフォレスト / 非線形自己回帰モデル / 分位点回帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、機械学習の代表的な手法の1つであるランダムフォレストについて、先行文献を調査し、時系列モデルへの適用を試みた。特に、入力データが非線形自己回帰モデルにしたがう場合の条件付き分位点の推定および予測問題に焦点を当て、入力データから分位点関数を推定し、その漸近的性質を調べた。推定手法については、Athey, Tibshirani and Wager(2019)によって提案されたGeneralized Random Forests(GRF)を利用するが、本研究で考えている時系列モデルには理論的には適用可能かどうかは判明していない。一方で Davis and Nielsen (2020)は入力データが時系列モデルにしたがう場合の平均関数をランダムフォレストで推定した場合の推定関数の一致性を議論しており、2つの論文を参考にして本研究で扱う推定関数の一致性を調べた。2つの論文の設定には違いがあり、その点を埋めるための理論が幾つか必要であったが、求めたい理論的結果は大筋では得ることができた。また、シミュレーションおよび実データ解析により、実用可能であることは確認できている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始時点での方向性とは若干の乖離があるが、機械学習の代表的な手法の1つであるランダムフォレストを利用して分位点関数を推定する手法は時系列モデルでも適用できることが理論的に確認できた。これにより、Value at Risk(VaR)の推定・予測が可能となり、当初の研究目的の1つが達成できたことになる。一方で、理論面では一致性しか確認できておらず、漸近正規性や漸近有効性については今後の課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続きランダムフォレストを使ったM推定量を調査することを考えている。GRFにより、推定関数は導出可能であるが、時系列モデルでも適用可能かどうかは議論が必要である。また、先行文献では漸近正規性を導出しているため、これを時系列モデルに拡張することが当面の目標である。また、漸近有効性、変数選択、スプリットにおける評価関数の議論、適切なサブサンプルサイズなど未解決問題にも取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により、海外出張ができなかったことが主たる原因である。次年度使用予定額は国内外の学会参加や研究討論のための旅費として使用する予定である。それに加えて、次年度は日本で国際学会が予定されており、本研究に関する第一人者を招聘する予定である。また、研究補助のための大学院生の謝金としても使用する計画である。
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