2022 Fiscal Year Research-status Report
階層ベイズモデルによる破砕状況に応じた破片宇宙ゴミ群の物理的特性分布モデリング
Project/Area Number |
21K11801
|
Research Institution | Nippon Bunri University |
Principal Investigator |
有吉 雄哉 日本文理大学, 工学部, 准教授 (80735019)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 宇宙ゴミ / 破砕イベント / モデリング / 階層ベイズモデル / レーダー観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
爆発・衝突で発生した破片スペースデブリは,現在の技術で全てを観測出来ないものの,運用中の宇宙機に衝突をすれば,故障に繋がる恐れがある.そこで,地球周回軌道上のデブリの分布状況について,現在の観測技術では不可能な微小サイズのものまで高精度に推定・モデル化が行えれば,デブリとの衝突リスクの推定精度の向上と耐デブリ対策として最適設計に寄与できる.本研究課題では,破砕イベントで発生した微小な破片スペースデブリを含め,破片スペースデブリ群としての物理的特性がどのような性質のものかをモデルとして明らかにすること,またそのモデルが妥当なものか,観測データとの比較により検証することが目的である. 本研究課題は研究期間全体を通して,「A. 破片デブリ群の物理的特性分布の推定・モデル化」と「B. レーダー観測結果によるモデル化の妥当性の検証」に分けて実施予定であるが,2022年度は破砕モデルの中でも爆発で発生するスペースデブリの個数分布モデルに着目し,階層ベイズモデルによりモデリングを実施した.NASA標準破砕モデルをベースとするものの,爆発の規模を表すと考えられるパラメータを組み込むことで,各破砕イベントごとの差異を含んだモデルを構築した.この成果については第66回宇宙科学技術連合講演会で口頭発表を行った.また,爆発で発生した破片スペースデブリの面積質量比の分布モデルにも着手し,現在分布パラメータの推定作業を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NASA標準破砕モデルは,破砕イベントで発生する破片の個数分布,面積質量比分布,速度分布の3つで構成されており,このうち個数分布の階層ベイズモデルによるモデリングを完了し,面積質量比分布にも着手できたことから概ね順調に進展していると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
残る面積質量比分布,個数分布のモデリングを完了させ,「B. レーダー観測結果によるモデル化の妥当性の検証」を実施する.
|
Causes of Carryover |
当初国内会議,国際会議での発表を目的とした出張を計画していたが,国内会議のみでの発表となったため,国際会議参加旅費や論文の英文校正費用が発生しなかった.2022年度未使用額は,2023年度分とあわせて旅費および発表論文英文校正費用に使用予定である.
|