2022 Fiscal Year Research-status Report
スレッドレベル並列性抽出のための動的コードマイグレーション方式の研究
Project/Area Number |
21K11806
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
平田 博章 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 教授 (90273549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布目 淳 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (60335320)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 計算機システム / ハイパフォーマンスコンピューティング / スレッドレベル並列処理 / 投機実行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、スレッドレベル並列性の抽出機会を拡大する可能性を学術的な見地で明らかにし、スレッドレベル並列実行技術を確立することを目的とする。プログラム中において投機実行が失敗する原因となるコード断片を、失敗の影響が出ない場所に移動(マイグレート)したかのように実行する動的コードマイグレーション方式を提案する。これにより、投機実行の失敗を回避して、並列性抽出機会の劇的な拡大を図る。投機実行でありながらも失敗しない、という点でもはや投機実行でなく、従来の純粋(非投機的)な並列実行方式を含めた並列処理技術全体の発展に新たな局面をもたらすものと言える。また、本研究で確立する並列化技術はビッグデータや人工知能を含む広い分野のプログラムに適用が可能である。よって、本研究の成果は広い学術領域の研究を加速させることにも貢献できる。 昨年度からの動的コードマイグレーション方式の概略設計を早々に完了し、動的コードマイグレーション方式の実現に関するデザインスペース(設計において考えられる選択肢の範囲)を明らかにした。この結果を基にして、次に、動的コードマイグレーション方式の実装に着手した。ソフトウェアのみで実装する並列投機実行システムはほぼ完成している。また、ハードウェアとソフトウェアで協調処理する並列投機実行システムの実装は、ハードウェアシミュレータの開発も含めて、全体として80-90%程度の完成度である。これら実装設計の過程で、動的コードマイグレーション方式の適用範囲を広げる新たな着想も得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定した通りの進捗である。
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Strategy for Future Research Activity |
実装設計の過程で得られた新たな着想も盛り込んで実装設計を完了し、性能評価を行う。これにより、動的コードマイグレーション方式の有効性を明らかにするとともに、さらなる並列性抽出の可能性や指針を探る。
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Causes of Carryover |
今年度において、論文ジャーナルの発行元出版社各社がオープンアクセス料として20-30万円超を請求する動きが一般化した。研究計画時点では、オープンアクセスはオプションと考えるのが普通であったので、論文投稿料のみしか計上していなかった。来年度の研究成果発表に備えてオープンアクセス料を確保するために、今年度の予算執行を工面して繰越を行う。 この繰越額は、次年度において論文投稿の際のオープンアクセス料に充当する。
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