2021 Fiscal Year Research-status Report
A Distributed Computing Environment for Cyber-Physical Systems Based on Mesh-Based Distributed Processing Models
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21K11815
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
横山 孝典 東京都市大学, 情報工学部, 教授 (60386357)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サイバーフィジカルシステム / 組み込みシステム / 分散処理 / リアルタイム処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、分散配置された多数のセンサ情報を利用した分散型組み込み制御システムを対象に、通信時間の変動を許容しながら、時間制約を満たすともにジッタの少ないリアルタイム分散処理環境を実現することを目的としている。具体的には分散リアルタイムOS(RTOS)と分散ミドルウェアから成る「分散処理基盤」と、「分散処理基盤」上で動作するアプリケーションの開発支援やコンフィギュレーションデータ生成を行うツールから成る「分散システム開発環境」を開発する。 令和3年度は、計画通り、基本方式や仕様の検討を行うとともに、基本機能について実装実験を行った。 「分散処理基盤」のうち分散RTOSについては、固定優先度スケジューリングと論理時間に基づくEDFスケジューリングの両者をサポートするスケジューリング方式について検討し、実装実験を行った。また、分散ミドルウェアについては、メッシュ型分散処理モデルに基づいて、タイムスタンプ付きメッセージ通信処理方式や論理時間によるタスク管理方式について検討し、実装実験を行った。 「分散システム開発環境」については、分散システムモデルの記述方法と、制御を記述したSimulinkモデルからUML記述した分散システムモデルへの変換方法について検討し、モデル変換ツールのプロトタイプを試作した。また、分散処理基盤のコンフィギュレーションデータの仕様について検討した。 そして試作したRTOSやモデル変換ツールについて学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、基本方式や仕様の検討を行うとともに、基本機能について実装実験を行うを計画していたが、一部新型コロナウイルスの影響を受けたものの、ほぼ計画通りに進めることができた。 「分散処理基盤」のうち分散RTOSについては、論理時間に基づくEDFスケジューリング方式の検討を行うとともに実装実験を行う計画であったが、これまでにその基本設計を終了し、オープンソースのRTOSのスケジューリング機構を拡張して実装した。分散ミドルウェアについては、タイムスタンプ付きメッセージ通信処理方式について検討して実装実験を行う計画であったが、これまでにメッセージ通信処理方式の他、論理時間によるタスク管理方式についても検討し、実装実験を行った。したがって、「分散処理基盤」については、当初計画よりやや進んでいるものと考えている。 「分散システム開発環境」については、分散システムモデルの記述方法と分散処理基盤のコンフィギュレーションデータの仕様を検討するとともに、分散システムモデルの端点間応答時間の検証法について検討する計画であった。このうち前者の分散処理モデルの記述法とコンフィギュレーションデータの仕様については予定通り検討を進めることができたが、端点間応答時間の検証法については若干検討が遅れている部分がある。 以上のように課題によって進捗状況は異なるが、全体としては順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、令和3年度の研究成果をベースに、詳細設計および実装を進める予定である。 「分散処理基盤」のうち分散RTOSについては、入出力タスクを対象とした固定優先度スケジューリング機構と、算出タスクを対象とした論理時間に基づくEDFスケジューリング機構の両者を有するRTOSの実装を進めるとともに、周期タスクのみでなく非周期タスクも扱えるよう拡張する予定である。分散ミドルウェアについては、タイムスタンプ付きメッセージ通信処理機構と論理時間によるタスク管理機能を有する分散ミドルウェアの設計を進め、実装を行う予定である。 「分散システム開発環境」については、Simulinkで設計した制御モデルと分散システム構成情報を入力することで、UMLで記述した分散システムモデルの原型を生成するモデル変換ツールの設計および基本機能の実装を行う。また、「分散処理基盤」が参照するコンフィギュレーションデータを生成するツールの設計を行う。さらに、分散システムのリアルタイム性の検証を目的に、端点間応答時間制約検証手法についても検討する。 そして、令和4年度に実施した研究の成果をまとめ、学会発表や論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
令和3年度は新型コロナウイルスの影響で、大規模な実験を行うことができず一部の機器の購入を延期したことと、学会発表のための出張ができなかったことにより、次年度使用額が生じた。次年度使用額については追加機器の購入と、今後の研究発表における旅費として使用することを計画している。
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