2021 Fiscal Year Research-status Report
Ad-hoc edge cloud infrastructure for low-latency IoT collaboration
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21K11832
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
松原 克弥 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (70302396)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | コンテナ型クラウド / ネットワークセキュリティ / BitVisor / プロセスマイグレーション / Robot Operating System / ヘテロジニアス / システム監視 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、余剰計算資源を安全に活用するアドホック型クラウド基盤を実現するための要素技術として、コンテナ型クラウド基盤向け軽量ネットワーク隔離機構の研究に取り組んだ。システムを構成する各マイクロサービス・モジュールが求めるセキュリティ要件に応じて、それぞれを収容するコンテナのリソース隔離強度と性能のバランスを柔軟に変更できる「Application-aware Sandbox Tailoring」を提唱し、その概念実証として、軽量ハイパーバイザBitVisorを用いたネットワーク集中型隔離機構を実現して評価した。得られた結果は、国際会議UCC2021にて発表した。 また、アドホック型クラウドにおいて対処すべき課題のひとつである、異種プラットフォーム対応に関する研究を取りまとめた。FreeBSDとLinuxに対応する異種OS間プロセスマイグレーション機構を実装し、その有用性を評価した。研究成果をまとめた論文は、雑誌コンピュータソフトウェアに掲載された。 さらに、IoTシステム基盤技術として、ROSノードのマイグレーション機構の実現を目指した。クラウドとIoT機器のあいだでの柔軟なROSノード配置を可能にするために、アーキテクチャ中立であるWebAssembly(Wasm)プログラムにおけるROS対応と、Wasmコード化されたROSノードの動的マイグレーション機構実現技術を検討した。本研究で得られた知見と成果は、学会主催研究会ETNET2022で発表した。 以上で述べた研究に加え、今年度はその派生として、マイクロサービス型システムの監視におけるダッシュボードUI設計に起因する状況認識への影響の評価実験も行った。システム監視に関する研究は、構成が複雑で動的な状態変化も想定しなければならないアドホック型クラウド基盤の実用化に向けた重要な役割を果たす。本評価結果は、学会研究会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、アドホック型クラウド基盤のセキュリティおよびプロセスマイグレーションの研究において、今年度に予定していた成果がほぼ得られた。また、ROSにおけるクラウド連携技術に関する研究も進捗があった。さらに本研究課題の遂行による派生として、マイクロサービス型システムの監視における評価実験も行うことができた。以上の研究成果は、雑誌論文ならびに国際会議でも発表することができ、当初の計画通りに順調に初年度の目標を達成したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ボランティア提供された余剰計算資源によりクラウド基盤が構成されることに起因する課題に対処する技術の研究開発を進めて、安心・安全な分散クラウド基盤を実現することを目指す。特に、先行研究で得られているプロセスマイグレーション技術や異種OS・異種アーキテクチャ対応技術、軽量仮想化技術などを応用することで、エッジクラウドとして実導入も検討できるアドホック型クラウド基盤を確立したいと考えている。 また、アーキテクチャ中立を実現するWasmをランタイムとしたクラウド基盤に関する研究にも取り組む。ステートレスで短命なインスタンスの生成を繰り返すFaaSクラウドでは、軽量で起動性能にすぐれたWasmインスタンスとの相性がよいと考える。Wasmクラウド基盤における性能最適化や、システム監視に必要な可観測性の実現に関する研究を計画している。 さらに、クラウドと連携するIoTシステムの基盤技術研究として、ROSの最適化に関する研究を引き続き行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
半導体不足とコロナ禍における供給網混乱と生産停滞により、購入予定であった機器の在庫不足が続いたことで、年度内の調達を断念せざるをえなかった。 在庫状況が回復次第、翌年度に予定していた機器の購入を進める予定である。
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