2021 Fiscal Year Research-status Report
生体情報を用いたプログラム理解のマイクロプロセス分析
Project/Area Number |
21K11842
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 秀剛 奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (70550094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 視線 / 脳波 / プログラム理解 / パターンマイニング / ヒューマンファクター / 生体計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に関連する最新文献を調査するとともに,異なるソースコードに対する視線移動から共通する意味に対する注視を抽出する手法を開発した.本研究ではまず,プログラム理解を構成するマイクロプロセスの候補となる行動やその切り替わりを判断できる生体情報特徴の候補として視線に着目する.視線移動は画面上の座標の連続値として保存され,視線が停留した座標上にある行や単語を見たと解釈される.従来の分析手法では視線が停留した座標の空間上の変化(上下左右の移動や異なる行への遷移)に着目し,被験者ごとの特徴との関係を分析している. 本研究ではソースコードから構文木を作成し,ソースコード内の各要素に対する視線移動と対応づけることで,画面上の座標情報の時系列である視線移動を構文木上の要素に対する着目の時系列情報に変換する.提案手法は異なる処理やコーディングスタイルを持つ複数のソースコードに対して,共通する意味を持つ視線移動のパターンが抽出できる.特定の入力値を与えたプログラムの動作のメンタルシミュレーションや,バグの検出など,目的の異なるタスクを与えたときに抽出されるパターンを精査することで,マイクロプロセスごとに特徴となる視線移動のパターンを明らかにするとともに,その際の脳活動や作業履歴から得られる開発者の状態との関係が調査可能になると考えられる. また,既存の視線計測装置を整備して利用できる状態にしたほか,パターンマイミングに用いる高性能計算機を整備した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に提出した研究実施計画で予定していた作業をすべて期間内に実施・完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した手法をプログラムとして実装し,これまでの研究で計測した視線データを対象にパターンの抽出を試行する.提案手法を用いて変換した視線移動からプログラム理解を理解するために有用な知見を得るためには,抽出されるパターンを構成する個々の視線移動の意味を明らかにする必要がある.例えば,同じコード片に対する視線移動でもプログラム理解の段階や目的に応じてデータ構造に対する着目や制御構造に対する着目など,異なる着眼点を持って見ていることが考えられる.個々の着眼点に対応する視線移動を定義し,自動でラベル付けを行うことで抽出されたパターンからどのような知見が明らかになるか確認する. 開発した手法は国際会議や論文誌で随時発表し,成果を公表するとともに今後のためのコメント・意見を得る.
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