2022 Fiscal Year Research-status Report
生体情報を用いたプログラム理解のマイクロプロセス分析
Project/Area Number |
21K11842
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Research Institution | Nara National College of Technology |
Principal Investigator |
上野 秀剛 奈良工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (70550094)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プログラム理解 / ヒューマンファクター / 視線計測 / 構文木 / パターンマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではプログラム理解を構成するマイクロプロセスの候補となる行動やその切り替わりを判断できる生体情報特徴の候補として視線に着目する.視線移動は画面上の座標の連続値として保存され,視線が停留した座標上にある行や単語を見たと解釈される.従来の分析手法では視線が停留した座標の空間上の変化(上下左右の移動や異なる行への遷移)に着目して分析している. 昨年度にはソースコードに対する視線移動データを,ソースコードから作成した構文木と対応づけることで,構文木上の要素に対する着目の時系列情報に変換する手法を開発した.本年度は本手法を実装し,ソースコードに対応した構文木上に視線移動をプロットするプログラムを開発した.開発したプログラムは後の統計分析等に用いるテキスト形式の視線移動(構文木単位と,従来の分析で用いられる単語単位の両方を含む)と,研究者が全体像を把握し,分析の観点を見つけるために有用な,可視化された視線移動を出力する. 提案手法はある注視を具体的な語(例えば変数 i)に対する視線や,より抽象的な意味(式 i++やforブロックの一部)など異なる観点で集約・分析でき,従来自動化が難しかった統計的な処理を容易に行える. 開発したプログラムの有効性を検証するために,過去の研究で取得したプログラム理解過程の視線移動データ80件(理解成功47件,理解失敗33件)に対して分析を行った.特に視線の停留が多い構文要素について,タスクの正否による注視時間の差を比較した結果,プログラム理解に成功した被験者はexpression,primaryなどを有意(p<0.01)に多く見ているのに対して,methodDeclaration,primitiveTypeなどを有意に少なく見ており,差が見られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に提出した研究実施計画で予定していた作業をすべて期間内に実施・完了した.
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Strategy for Future Research Activity |
実装した提案システムを用いた分析を行う.分析ではプログラム理解の正否で分けた2群の視線データに対して,各構文要素に対する注視時間の差の比較を行う.ある単語に対する視線は,ブロックやメソッドなどより上位の構文要素に対する視線と見なすことも出来るため,視線移動を異なる粒度に分類した分析も行う.また,それぞれの構文要素に対する視線停留時間の割合を特徴量とした機械学習によってプログラム理解の正否を識別できるか評価する.
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