2022 Fiscal Year Research-status Report
5GとHTTP/3の次世代通信環境における深層学習による通信速度制御
Project/Area Number |
21K11854
|
Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
山口 実靖 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 教授 (50439262)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | HTTP/3 / 5G / 深層学習 / 輻輳制御 / TCP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,5G(第5世代移動通信システム)とHTTP/3(Hypertext Transfer Protocol Version 3)からなる次世代通信環境における通信性能の向上である.また,目的を達成する手法として,近年 大きな技術革新を遂げているAI(Artificial Intelligence, 人工知能)技術の深層学習(Deep Learning)を用いる.前年度に,次世代通信手法であるHTTP/3の実験環境の構築に成功しており,初期段階の性能の評価に成功している.本年度は,本実験環境(性能評価環境)を用いてHTTP/3の重要な性能評価と,詳細な性能向上に関する考察(性能低下の主たる要因に関する詳細な調査)を行った.これまでの研究の多くは,ネットワーク遅延時間やネットワーク内におけるパケット損失率と性能の関係の調査を行ってきているが,本研究ではそれ以外の項目に関しても詳細に調査し,性能低下要因がCPU(Central Processing Unit)処理性能やTLS(Transport Layer Security)処理などにあることも示した.特にTLSに関しては深く考察し,この暗号化処理と復号処理がHTTP/3の性能に大きな影響を与え,CPU処理性能が低いとHTTP/3の性能が低くなること(つまり性能に直接的に影響を与えること)や,TLSのバージョンを変更することによりHTTP/3の性能が大きく変わることなどを示した.そして,これらの成果をまとめた論文を国内研究会で発表したり,国際会議に投稿して採録されて発表したりした.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,5G(第5世代移動通信システム)とHTTP/3(hypertext transfer protocol version 3)からなる次世代通信環境における通信性能の向上である.また,目的を達成する手法として,近年 大きな技術革新を遂げている深層学習(Deep Learning)を用いる.よって,本研究の目的を達成するためには,次世代通信環境の構築と,それを用いた次世代通信の性能低下要因の発見(考察)が必須となる.前年度にHTTP/3を用いる環境の構築に成功しており,本年度に当該通信環境を用いたHTTP/3通信の性能評価や性能低下原因の発見に成功している.また,これら研究成果を国内研究会で発表するなどの積極的なアウトプット活動も達成されていると同時に,査読がある国際会議に投稿し論文が採択さており,専門家による対外的な評価が得られている状況になっている.性能の低下の原因の発見に成功している点と,次世代通信環境の動作観察システムの構築に成功している点から,原因に対処することや,そのときの動作の観察などにより,今後の研究もおおむね順調に進むと予想できる.特に,動作観察システムの構築に成功できた点が大きく,問題が生じてもその原因の発見につながりやすく,大幅な進展の遅れなどを回避できると予想できる点まで来ていると言える.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は,5G(第5世代移動通信システム)とHTTP/3(hypertext transfer protocol version 3)からなる次世代通信環境における通信性能の向上である.そしてこれまでに,これらからなる次世代通信環境の構築,その性能の評価,性能向上のための性能低下原因の発見,次世代通信システムの動作観察システムの構築を終えている.次年度は,性能低下原因のさらなる調査を進め,性能低下原因の解決による性能の向上や,性能低下原因解決後における次世代通信システムの動作の観察による次なる性能低下要因の発見などに取り組む予定である.また,深層学習を用いた次世代通信システムの制御(主として輻輳制御)について開発を進めていく予定である.また,これまでに構築して来た次世代通信システムやその動作観察システムの改善についても進めていく予定である.
|
Causes of Carryover |
今年度も COVID-19の影響により、学会活動がonline実施され、結果的に学会参加にかかる費用(主として旅費)が大幅に削減され、より多くの学会に参加できるとともに、より少ない支出に抑えることができた。 このように 多くの学会に参加することにより多くの知見が得られたため,次年度は当初予定より多くの研究成果の発表(主として学会発表)と情報収集(主として学会参加)を行う。
|
Research Products
(12 results)