2021 Fiscal Year Research-status Report
遠隔ロボティクス制御利用サービスのためのサービス品質及びアーキテクチャ
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21K11855
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
小池 新 東京家政大学, 人文学部, 教授 (40650445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末田 欣子 明星大学, 情報学部, 教授 (70530806)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サービス品質 / ネットワーク品質 / アーキテクチャ / ロボティクス / Quality of Control |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,具体的には,人以外にも様々な機器や機能を統合したサービスで必要な品質を,多様なネットワークや機能の混在環境で構成可能にすることを目的としている.従来はサービス品質については,人の利用を前提としていたが,その概念を拡大することを目的としている.そのため,研究対象とするサービスを実現するシステムには,リアルタイムでの動作や制御が必要なロボティクス機器と,非リアルタイムで動作する機器の双方を対象とするが,初年度の検討では前者を優先的に検討した. まず,遠隔操作を必要とする種々のロボティクス機器が組み込まれているシステム全体の,遠隔操作に必要となる操作性についての新たな特性量の定義を明確化するために,ROS(Robot Operating System)-2を用いて,機能分散したシステムをエミュレートするシステムを構築した.この機能分散をさせる制御処理の部分を仮想化し,ロボティクスデバイスの筐体から分離し,遠隔にあるサーバに配置して制御する形態を検討対象の形態として想定している.ROS-2では,ロボティクス機器をPUB/SUBにより接続することが可能であるため,制御部分をこの仕様に合わせて切り出すことで,評価対象システムをエミュレート可能な実験系を構築することができた. 次に,ネットワークに関するQoS条件を変化させた中で,上記で確立した特性量がどのような影響を受けるかの応答性の観点を明らかにした.特に,遅延とパケット損の影響についての実験を行い,移動時の通信としてUDPマルチキャストを利用した際のロボティクス機器動作への影響ついて検討した.ネットワークに関するQoS条件に変化については,,Linuxにおけるtc コマンドで擬似的にネットワークにパケットロスと遅延を発生させ,エミュレート可能な環境を実現した.このシステムによる検討結果を研究会で報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定の3年間での研究計画では,まずリアルタイムでの動作を優先的に検討することとしていた.まず,遠隔操作を必要とする種々のロボティクス機器が組み込まれているシステム全体の,遠隔操作に必要となる操作性についての新たな特性量の定義を明確化する検討のため,ベースとなるエミュレーション環境を構築した.実機を用いた環境の構築を最終的には目標としているが,現時点では,PC上での実機シミュレータを動かした実験までが初年度で到達できた部分である. 次に,実際の実験としては,ネットワークに関するQoS条件(特に遅延や遅延変動)を変化させ実施可能な環境を構築した.また,特にネットワーク遅延とパケット損がサービス全体に与える影響がサービスに関する特性量に影響をどの程度与えるかについての検討を開始した.特にパケット損の発生パターンの影響についてをロボティクス機器動作のサービスの正確性への影響を与える因子として抽出して,研究会への報告を行なった. 実社会への応用として掲げているリハビリテーションや造形,音楽などの遠隔教育への利用については,まずリハビリテーション分野の調査を,研究成果報告会への参加などにより開始している.この調査の結果,制御の対象としている制御間隔などの時間スケールが比較的長い状況であり,機能分散により発生することが避けられない遅延増大にあまりセンシティブではなく,処理負荷分散という観点で効果があることがわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,評価環境の拡充とサービスでの品質とネットワークの品質の関係の体系化を行うことを目指す.具体的には,評価環境の拡充については,エミュレータ環境のみではなくロボティクス機器の実機を含めた動作環境の構築を目指す.また移動特性の評価についても品質に関する特性量として検討に含めて実施する.またこれらの評価結果をまとめ,研究会などでの報告を行い,フィードバックを得ることを目指す.リハビリテーション分野についての調査も引き続き実施し,連携可能なシナリオの検討を行うとともに,造形や音楽に関する分野での検討も開始する. また,来年度はこれらの2つの検討を総合して,様々なシステムを統合したサービスの広域利用の中で総合的に,連携させた評価を行い,アーキテクチャのさらなる明確化と必要な機能,そしてサービス構築ソリューション検討の際に,検討を系統的に実施できるようにすることを目指した,品質に関する構成法のテンプレート化の確立について検討を行う.
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Causes of Carryover |
2021年度は調査のため出張を予定していた会議などがオンラインで開催され,出張の機会が限られていた.また実機をもとにした検証を年度後半に想定したが,エミュレーション環境での評価が中心となったことと,購入を想定したPCが半導体不足の影響で想定以上に値上がりし,また納期が見通せない状況であった.そのため,現実的に実施可能な内容に集中し取り組むこととしたため,2021年度の実施額が計画額より大幅に下回った. 2022年度は,半導体不足の影響が収束することを想定して引き続き評価用機器の購入を行うとともに,調査と得られた成果の発表のための出張を実施する.
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Research Products
(2 results)