2021 Fiscal Year Research-status Report
Blind compensation for MIMO single carrier systems with frequency-dependent IQ imbalance
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21K11868
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中川 匡夫 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (50530804)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹岡 直人 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (80432607)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 直交誤差 / IQインバランス / シングルキャリア / MIMO / シングルユーザ / チャネル推定 / ブラインド推定 / ブラインド補償 |
Outline of Annual Research Achievements |
無線通信のさらなる高速化を実現するための信号周波数の広帯域化は,直交変調器・直交復調器の位相誤差・振幅誤差(直交誤差)の受信信号帯域内の周波数偏差を増大させ,信号品質を劣化させる.OFDMよりも低消費電力化が可能なシングルキャリア信号に対しては,周波数依存性のある直交誤差のブラインド推定・補償は困難であった. 申請者は直交誤差を有するシングルキャリア信号に対し,ブラインド推定・補償を行う技術を提案してきた.本研究の目的は,さらなる高速化が可能となるようこの技術を空間多重無線通信に拡張し,周波数依存性のある直交誤差を有するMIMO-シングルキャリア信号に対するブラインド推定・補償技術の確立することである. そこで令和3年度は,周波数依存性のある直交誤差を有する2×2MIMO-シングルキャリア信号に対するシミュレーション系を構築し,ブラインド推定・補償技術を検討した.数百シンボルの繰り返し処理が必要な直交誤差の推定に対してはデータ信号から推定するブラインド推定としたままで,MIMOチャネルを未知としてその推定を「1」と「0」を交互に送るパイロット信号を用いて推定・補償する方法を試みた.その結果,時間方向に平均化するよりも周波数方向に平均化するほうが,より高精度にMIMOチャネルを推定し,直交誤差を補償できることを明らかにした. また2×2MIMO-OFDM信号に対するシミュレーション系を構築し,ブラインド推定・補償技術を検討した.MIMOチャネルを既知として,CMA(Constant Modulus Algorithm)等のブラインド推定アルゴリズムでMIMO信号の分離と直交誤差の推定・補償を同時に行う方法を試みた結果,直交誤差を補償できることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
周波数依存性のある直交誤差を有するMIMO-シングルキャリア信号に対するブラインド推定補償技術として当初計画では,CSI(チャネル状態情報)をフィードバックし,プリコーディングを行って送信データを変更することによって1回目の初期判定の特性をよくする方法を計画していた.しかしながらシミュレーション系を構築しアルゴリズムの検討を進める中で,パイロット信号とその平均化方法を工夫することによって, 送信データの変更なしに16QAM・2×2MIMO信号の分離と直交誤差のブラインド補償の両立が可能であることを明らかにした.また直交誤差の補償と変調・復調がともに周波数領域であるOFDM信号に対しては,MIMO信号の分離と直交誤差の推定・補償を同時に行えることも明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は周波数オフセットがある場合,変調多値数が多い場合,MIMOストリーム数が多い場合についての信号処理アルゴリズムを検討し,確立する.これらの条件が複合的に組み合わされた場合,当初計画していた送信データの変更が必要となる可能性がある.またシングルキャリアでは直交誤差の補償は周波数領域,変調・復調は時間領域であるが,OFDM信号で性能が確認されたMIMO信号の分離と直交誤差の推定・補償を同時に行う方法をシングルキャリア用に変更し,効率よく補償する方法の検討も進める. さらにここまでに確立した信号処理技術を実験によって検証する.任意信号発生器で周波数依存性のある直交誤差を発生する広帯域なベースバンド信号を発生し,RFの直交変調器を変調して送信し,受信側ではRFの直交復調器を用いてベースバンド信号に戻してデジタル・ストレージ・オシロスコープに蓄積してPC上でオフライン信号処理を行う.信号処理技術を検証し,アルゴリズムの確からしさと現実のハードウェアで考慮していない要因の有無を明らかにし,必要に応じて信号処理アルゴリズムを再度ブラッシュアップする.
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Causes of Carryover |
今年度の研究会発表として東京出張を予定していたが,オンライン開催となったため,旅費を支出しなくなったため.2022年度に複数の論文発表を予定しており,差額分を論文掲載料とする予定である.
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