2023 Fiscal Year Annual Research Report
光音響効果を用いたシグナルインジェクション攻撃とその対策
Project/Area Number |
21K11884
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
菅原 健 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (60785236)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光音響効果 / セキュリティ / レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021 年度に国際会議 IEEE Sensors で発表した内容を元に,大幅に内容を拡充したジャーナル論文を執筆・公開した.MEMSマイクロホンが光に感度を持つ原因は,熱弾性応力,熱ピストン効果,および光電効果に渡ることを明らかにした.この知見をもとに,理論的なモデル化と,各効果の寄与率を調べるための実験方法を開発した. 真空チャンバーとレーザー振動計からなる実験セットアップを構築し,8つの市販MEMSマイクロフォンを対象にした評価を行った.その結果,主要なメカニズムは波長に依存することを明らかにした.長波長(904nmの赤外レーザーなど)では,MEMSマイクロホン内に存在するASIC(半導体チップ)における光電効果が主要な原因であった.一方,短波長(450nmの青色レーザーなど)では,MEMS振動板と周囲の空気に関わる熱ピストン効果が主要な原因であった. 以上の知見を元に,レーザー照射攻撃に耐性に対して安全なMEMSマイクロホンを設計する際に考慮する事項として,以下3点を提言した:(i) ASICを遮光樹脂で覆うこと,(ii)MEMS構造における非対称性を減らすこと,および(iii)攻撃検出のための光・温度センサを追加すること.また,本研究により明らかになった物理的メカニズムから予測される帰結として,非MEMSマイクロホン,超音波センサー,加速度センサなどにも,レーザー照射攻撃の危険性があることを指摘した. 以上に加え,最終年度までに得られた成果をもとにハードウェアセキュリティフォーラムで招待講演を行った.また,派生として得られた,レーザー振動計を用いた盗聴の危険性を明らかにした研究成果に関するジャーナル論文の執筆・投稿を行った.
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