2021 Fiscal Year Research-status Report
大規模行列方程式に対するクリロフ部分空間法の躍進とリーマニアン最適化への応用
Project/Area Number |
21K11925
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
相原 研輔 東京都市大学, 情報工学部, 准教授 (70735498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 寛之 京都大学, 情報学研究科, 特定准教授 (80734433)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大規模行列方程式 / クリロフ部分空間法 / 平滑化技術 / 丸め誤差解析 / 前処理技術 / リーマン多様体 / ニュートン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,主に大規模な行列方程式に対する反復ソルバー(クリロフ部分空間法)の開発・改良について研究を行った.具体的にはまず,収束振る舞いの平滑化と得られる近似解精度の向上を同時に達成するスムージング技術の丸め誤差解析,およびそれを用いた新しいアルゴリズムの開発を行い,数値実験を通してその有用性を示した.現在,研究成果はプレプリント・サーバである arXiv に公開するとともに,国際的な査読付き学術雑誌に投稿中である.また,一般の行列方程式に有効なグローバルクリロフ部分空間法という枠組みの中で,Global GPBiCGstab(L)法という新しいアルゴリズムを構築した.本アルゴリズムは複数のパラメータを持ち,パラメータ調整により既存のいくつかの手法に帰着することが可能な包括的な手法である.さらに,アルゴリズムの収束性を向上させる前処理技術の適用に関しても,従来よりも効率的かつロバストに実装する手法を考案している.研究成果の一部は,日本応用数理学会にて口頭発表を行い,現在は学術論文の投稿に向けて準備を進めている. 一方,リーマニアン最適化の研究に関しても,一定の成果が得られた.具体的には,リーマン多様体上の無制約最適化問題に対する大域的最適化手法について,直線探索を行う際に用いる代表的なアルミホルールに改良を加えることで,ニュートン法などの計算量の削減に繋がることを示した.研究成果の一部は,国内の研究集会にて口頭発表を行い,現在は学術論文の投稿に向けて準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行列方程式に対する反復ソルバーに関して,既存の方法よりも優れた収束性を示す新たなアルゴリズムの開発,および関連手法の誤差解析や効率的実装を達成し,本研究課題の目標の一部を達成したため.また,リーマニアン最適化についても,当初に想定したアルゴリズム改良の一端を行えたため.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究に続いて,行列方程式向けの反復ソルバーの更なる高速化・高精度化や,より広範な問題に適用可能なアルゴリズムの開発に取り組む予定である.また,リーマン多様体上の最適化アルゴリズムについては,現状では理論解析が主であるため,今後は数値実験による有用性の検証までを実施する予定である.
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Causes of Carryover |
2021年度は,コロナ禍により学会等がすべてオンライン開催となり,当初の予定よりも旅費に掛かる費用が無くなったため,次年度使用額が生じた.差額分は2022年度に請求した助成金と合わせて,国内外の学会等で研究発表を行うための費用,および学術論文の出版に関連する費用として使用する予定である.
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