2021 Fiscal Year Research-status Report
アクセラレータ上で動作する粒子系シミュレータ開発フレームワークの開発
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21K11930
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
岩澤 全規 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 講師 (10650038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 淳一郎 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50229340)
細野 七月 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (70736298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 粒子法 / フレームワーク / 高性能計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
粒子法シミュレーションは、密度コントラストの強い系や空隙のある系、物体の破壊や衝突等のシミュレーションに適しており、自然科学や工学の幅広い分野で使われている。しかし、並列粒子法シミュレーションコードの開発は容易ではなく、多くの研究者がコード開発や最適化に多くの時間を割く必要があった。そのため、我々は容易に並列粒子法シミュレーションプログラムを開発するためのフレームワークFDPS(Framework for Developing Particle Simulators)を開発した。しかし、現在のFDPSでGPGPUなどのアクセラレータを使う場合、相互作用計算のみをアクセラレータ上で計算することになる。しかし、星団や銀河など粒子の速度分散が大きい系のシミュレーションでは、相互作用リストを再利用することができないため、相互作用計算をアクセラレータで高速化しても、ホストコンピュータ上で行う木構造や相互作用リストの構築が性能ボトルネックになり、性能向上が難しい。そこで、本研究では木構造や相互作用リスト構築、その他の計算も可能な限りアクセラレータ上で動作させる、アクセラレータ対応FDPSの開発を行う。 当該年度では、アクセラレータ上でFDPSを動作させる際に、既存のユーザーアプリケーションからなるべく変更が少ない形で移行できるかの検討を行った。結果、現在のユーザーが開発したアプリケーションプログラム上の関数に関数識別子を付ける程度の変更でプログラムが動作するように改良できることが分かった。さらにアクセラレータとしてはNvidiaのGPGPUを考えCUDAを用い、フレームワークの実装も行っている。現在は領域分割や粒子交換をCUDAで実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
仕様策定はほぼ終了した。ユーザーはアプリケーションプログラム開発にあたって、従来のFDPSと同様に粒子構造体と相互作用関数を定義する。この際、FDPSが必要とする位置座標や電荷を取得するための関数、データコピーを行うための関数には関数修飾子をつけることで、アクセラレータ上で実行できるようにした。このため、既存のアプリケーションコードから僅かな変更でアクセラレータ対応FDPSを使うことができるようになった。現在はアクセラレータとしてNvidiaのGPGPUを想定し、フレームワークをCUDAで実装中である。粒子データはアクセラレータ上のデバイスメモリー上におき、領域分割や粒子交換に必要な計算をアクセラレータで計算できるようになっている。 仕様策定が終了し、また、粒子交換や領域分割についてはCUDAでのコード開発がほぼ終了したため、「おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在はフレームワークの開発中であり、まずフレームワークを完成させる。特に木構造、相互作用リスト構築の実装を行う。この時点でフレームワークは動作するので、その後、重力N体シミュレーションやSPH、分子動力学のアプリケーションコードの開発を行い、本研究費で購入予定のGPUクラスタ上で性能測定を行い、性能ボトルネックを検討し、その部分の最適化や必要ならば新たなアルゴリズムの開発も行う。この過程を繰り返すことで性能向上を行う。さらに、大規模なGPGPU搭載スパコン上での性能測定も行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で当初予定していた出張が難しくなってしまったこと、また購入予定であった計算機が半導体不足で、手に入りづらく、また価格も高騰してしまったため、計算資源の購入ができなかった。半導体不足は今後も続くことが考えられるため、当初計画していた計算機より多少スペックが低くても手に入りやすいものを次年度に購入する予定である。
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