2022 Fiscal Year Research-status Report
水中でも太陽光の影響を受けにくい高速通信実現のための残像式可視光送信機の開発
Project/Area Number |
21K11948
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
荒井 伸太郎 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (10599195)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 可視光通信 / LED / イメージセンサ / 回転 / 残像 / 水中可視光通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の領海にある海洋資源の探索に,可視光通信技術を搭載した小型無人水中機(ROV)の利用が注目されている.しかし,海上に降り注ぐ太陽光の影響で通信が阻害され,データ収集が円滑に行えない問題がある.本研究では,ROVのスラスターに着目した残像式可視光送信機を開発する.スラスターに複数のLEDを取り付け,それらを点滅させながら高速回転させる.受信機に用いるカメラには,LEDの高速点滅が残像として写るため,一枚の画像で捉えられるLED数を見かけ上増やすことで,通信速度が向上する.カメラは送信機とそれ以外を画像上で分離できることから,水中での高速光無線通信が太陽光の影響下でも実現できると期待する.
令和4年度は、前年度に開発したスラスター型残像式LED送信機とイメージセンサを用いた可視光通信実験を行い、データ復調の性能を評価した。本送信機はLEDの設置位置によって回転半径が異なるため、設置位置によって受信機が撮影した画像上のLEDの写り方が異なる。具体的には、回転の中心軸に近いほど、回転によるLEDの移動量が短いため、LED光の干渉が起こりやすい。そこで、通信実験ではLEDが点滅する回転角度をその設置位置毎に変えて復調性能を評価し、LEDの設置位置毎に必要な点滅回転角度を調査した。さらに、前年度整えた水中可視光通信実験環境で、LEDとイメージセンサを用いた簡易的な水中可視光通信実験も行った。
本研究課題の成果の一部として、令和4年度は学術論文として1本(IEICE ComEX)発表した。さらに、国際会議で1件、国内研究会で6件の研究発表を行った。特に、2022年11月に開催された電子情報通信学会 スマート無線研究会では、本研究課題の一部を展示し、その高い技術力が評価され、「技術特別賞」を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述した「研究実績の概要」で説明した通り、前年度に開発した送信機を用いた実験や水中可視光通信実験を行い、性能を評価した。加えて、本研究課題の成果の一部を論文や研究会でも発表した。以上のことから、本研究課題の進捗はおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、前年度に続いて、開発したスラスター型残像式LED送信機とイメージセンサを用いた可視光通信実験を行う。特に、令和5年度は前年度で調査したLEDの設置位置と復調性能の関係を踏まえ、LED設置位置毎のLED点滅角度を変化させ、通信速度向上と低い復調誤りの両方の達成を目指す。
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Causes of Carryover |
前年度と同様、COVID-19感染症の影響で令和4年度に開催された国際会議及び国内研究会がオンライン、もしくはハイブリッド開催であったため、旅費の支出が予定より少なかった。また、COVID-19禍の影響で、本研究の実験補助のための実験補助者を雇えなかった。そのため、当初の予定よりも支出がなかったため、次年度使用額が発生した。令和5年度はCOVID-19禍前の状況に戻りつつあるため、国内および海外での研究活動が活発になると予想しており、そのための旅費や実験補助者への謝金にこの次年度使用額を用いる。
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Remarks |
「Communication System Laboratory」は研究代表者である荒井のWebページです。
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