2022 Fiscal Year Research-status Report
人と機械の調和によるエコーロケーション技術の確立に関する研究
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21K11973
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 拓貴 北海道大学, 情報科学研究院, 助教 (50808433)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ウェアラブルコンピューティング / エコーロケーション / 物体認識 / 支援技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,可聴化された超音波反射音を用いた人による認識と,機械学習による認識を組み合わせた,人と機械の協調型エコーロケーション技術の確立を目的とする.エコーロケーションとは音の反射により周囲の状況を把握する技術である.一部の視覚障害者はこの技術を利用し,舌打ち音等の可聴音で周囲を認識しているが,エコーロケーションには超音波を用いたほうが,より詳細な情報が取得できることが示されている.そこで本研究では,超音波を発信し反射音をリアルタイムに可聴化してユーザに提示するシステムを構築する.同時に,取得した反射音を用いてシステムでも機械学習により認識を行い,ユーザに提示する.提案手法により,視覚障害者は従来不可能であったリアルタイムの超音波エコーロケーションが可能になり,可聴音のエコーロケーションよりも詳細な情報を得ながら周囲を認識できる.また機械学習も併用することで,人には認識が難しい物体や見落としがちな手がかりの検出も可能になると考えられる.人による認識と機械による認識を組み合わせることで,それぞれの特性を活かしながら,より詳細なエコーロケーションの実現を目指す. 2022年度は,昨年度に実装したシステムを用いた評価実験を行った.具体的には,機械学習単体による物体認識精度の調査と,機械による認識と人による認識を組み合わせた際の物体発見タスクに要する時間や精神的負荷を調査した.調査の結果,人による認識のみよりも,機械による認識を組み合わせた方が,精神的負荷が少ないことが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,昨年度までに作製したプロトタイプデバイスを用いて評価実験を行うことができた.評価実験の結果,人による認識のみよりも,機械による認識を組み合わせた方が,精神的負荷が低減することが確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの研究で,超音波エコーロケーションに機械学習手法を導入することについて評価した.結果として,この導入に意義があることが確認できた.一方で,人による認識のみで物体探索をした時の方が,被験者自身のタスクの達成感が高いことが示唆された. 従って,協調型エコーロケーションでは,機械の判断に全て従うのではなく,機械は人の感覚の拡張や判断の補助として動作し,あくまで判断を決定するのは人となるようなシステムの構築を目指す必要があると考える.そのため,ユーザの状況によって機械はどのように動作すべきかを,より実際の環境に近い環境での評価を通しながら,人と機械の協調方法を追及する必要がある. また人による認識では,可聴化された超音波がユーザに常に提示されることになるが,イヤホンからの常時音声提示はユーザ本来の聴覚特性に悪影響を与える可能性や,効果的でない情報提示になっている可能性がある.音情報の提示手法についても同時に調査を行う.
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Causes of Carryover |
当初予定より国内/国際会議への出張が少なかったことと,既存物品の再利用により物品購入が少なかったため次年度使用が生じた. 次年度は評価実験の規模拡大に伴う物品購入,被験者への謝金等に利用する予定である.
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