2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K11976
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
岩永 光一 千葉大学, デザイン・リサーチ・インスティテュート, 教授 (70160124)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 圭太 千葉大学, デザイン・リサーチ・インスティテュート, 准教授 (40325569)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 疑似触力覚 / 事象関連電位 / 個人差 |
Outline of Annual Research Achievements |
疑似触力覚と脳活動との関係を検討するための実験を行った。力覚提示装置を用いた肘関節の屈曲運動によってモニタ画面に提示されたカーソルが下から上に移動する実験系を用い、頭皮上19部位から脳波を記録した。カーソルがモニタ画面の中央部を通過する時点を起点として約100試行の脳波を平均加算し誘発電位を得た。被験者8名について、特にFz、Pz、Czに注目して解析したところ、100~400ミリ秒の区間において疑似触力覚を発生させる条件では対照条件に比べて陰性に大きく変動する傾向がみられた。この結果は、予想外の出来事に対する脳の反応を表す可能性はあるが、統計的な検討も含めて被験者数の増加や実験系の再検討など、検討を継続している。 疑似触力覚の発生機序について、個人差の観点から検討を行った。これまでの実験系において疑似触力覚発生時のカーソルスピードを減速から加速まで段階的に変化させると、生じる疑似触力覚の大きさはカーソルスピードの変化量に対して直線的に増大することを明らかにした。その直線性は単一の被験者内で高度に相関するが、回帰の傾きには個人差が存在し、今回検討した10名の被験者では傾きは0.17~0.60であった。傾きの被験者間変動を説明する要因を検討したところ、物理的な触力覚の変化に対する丁度可知差異と回帰の傾きの間に有意な正の相関が存在することが分かった。このことは、物理的な触力覚の変化に対する知覚感度が低い被験者ほど疑似触力覚の変化を大きく知覚していることを示し、疑似触力覚の発生と感覚特性との関係を表していると解釈することができる。 研究期間全体を通して、筋活動そのものを評価する段階に至ることができなかったが、疑似触力覚の発生を安定的に評価する実験系を確立できた。さらに、疑似触力覚の発生機序に関するいくつかの重要な手掛かりを明らかにし、今後の研究につながる成果を得ることができた。
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