2021 Fiscal Year Research-status Report
ボトムアップ思考とトップダウン思考を区別した創造性支援ツールの基礎研究
Project/Area Number |
21K11978
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
由井薗 隆也 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70315399)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 創造性支援 / 集合知 / 創造性教育 / 概念生成 / ボトムアップ思考 / KJ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、人間の創造性を支援するツールに関する基礎研究として、多くの人々から集められたアイデアを創造的にまとめるタスクを対象とした人間の創造性を向上するためのシステムを実証することである。なお本研究では、日本発の衆知をあつめる発想法であるKJ法を参考としている。 本年度は、(1)多くの人々から集められたアイデア2千枚を用いて自然言語処理を用いた人数効果を調査した。その中では、138人規模の人から集めたブレインライティングデータにおいて、出された単語の多様性を調べた。特に、参加者が1人から138人と変化させた場合にどのように変化するかをランダムサンプリングにより近似式を求めた。当初の経験的予想(参加人数の平方根)とは異なり、100人規模になっても、それほど単語の多様性が大きく減ることはなかった。この結果は三年目に行う大規模データを用いた実験において基礎データとなる成果である。 次に、(2)KJ法のボトムアップ思考の本質である概念生成に注目した創造性教育手法の効果についても調べた。そこでは、複数のキーワードから概念を抽出し、それをもとにしたアイデア発想を行わせる教材を開発した。この教材は、小学校高学年に適用され、従来技法と比較され、その効果が確認された。これは本研究が対象とするKJ法支援において、概念生成に注目した創造性支援の分析が創造的思考を理解する上で関連があり、また、今後の支援システム設計の指針となる成果である。 (その他)知識創造学習支援システムを用いて1ヶ月程度における学習者の知的生産性とモチベーションの関係についても調査した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一年目は、研究に使用する百数人規模から集めた意見データの解析により、三年目に実施する大規模意見を用いた実験に向けた自然言語処理機能を検討するための基礎データを得ることはできた。 一方、新規発想を目指す「ボトムアップ思考」と、アイデア整理を目指す「トップダウン思考」を研究室実験により比較する予定であったが、COVID-19の影響もあり、実験を行えなかった。しかしながら、ボトムアップ思考の本質(本研究が対象とする創造技法の本質)である概念生成を含む創造性教育教材の効果は検討することができた。 やや想定外で実施できなかった実験があるが、創造性支援ツールの基礎を検討する上で、計画以外の成果があったため、(2)の区分と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
一年目に実施できなかった新規発想を目指す「ボトムアップ思考」と、アイデア整理を目指す「トップダウン思考」を研究室実験により比較することを実施する。また二年目に実施予定の自然言語処理と機械学習を組み合わせた自動分類の検討に取り組む予定である。 また、別途実施している知識創造学習支援システムの研究や創造教育に関する研究をもとに創造性支援ツールに関する探索的検討も行っていく。
|
Research Products
(2 results)