2023 Fiscal Year Annual Research Report
ボトムアップ思考とトップダウン思考を区別した創造性支援ツールの基礎研究
Project/Area Number |
21K11978
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
由井薗 隆也 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (70315399)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 創造性支援 / 創造性教育 / ボトムアップ思考 / KJ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は、人間の創造性を支援するツールに関する基礎研究として、多くの人々から集められたアイデアを創造的にまとめるタスクを対象とすることであった。本目的に対しては基礎データを収集するに留まったが、創造性教育という観点からは有益な成果を上げることができた。またAI応用である感情処理を人間の創造性に関わる研究分野に展開することを実施した。 昨年度に引き続き(1)ブレインライティングを変形した方法として個人の意見と他者の意見を明示的に区別した独自手法と組み合わせたKJ法を用いた創造性教育のデータ収集を実施した。その結果、約50人分のデータをデジタルデータとして収集した。今後、自然言語処理や人手の内容分析などを組み合わせることにより、独自手法の特徴を明らかにする予定である。一方、(2)電子ツールではないが、ブレインストーミングの質問版である質問ストーミングを教育ツールとした第二言語教育における創造性教育の効果を調べた。その講義に参加した学生は、講義前後において、質問テスト、創造性テスト(独創性、柔軟性、流暢性)、言語能力(語彙、文法)において向上する結果が得られた。特に、質問テストはBloom分類を持ちいた内容分析を行い、従来教育的な「記憶、理解」では向上はしなかったが、「応用、分析、評価、創造」といった思考スタイルで向上するという興味深い結果を得た。その他、(3)機械学習を用いた感情ストーリー生成の研究や感情認識技術の芸術教育応用という人間の感情と創造性にAI技術を適用することも検討した。特に、前者では感情の起伏を制御することによって、機械生成された物語文章が人々に驚きなどの影響を与える可能性を見出すことができた。 その他:VR環境の違いが集団意思決定における影響も調べた。今後、このVR環境は新たな創造性支援研究を実施するための研究基盤として使用する予定である。
|