2021 Fiscal Year Research-status Report
漁業に関する統合的な情報可視化プラットフォームの開発
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21K11990
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
松山 克胤 岩手大学, 理工学部, 准教授 (80404804)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / インタラクション / 可視化 / コンピュータグラフィックス |
Outline of Annual Research Achievements |
ユーザが、海況や漁獲などの漁業に関する情報を理解・分析するための情報可視化プラットフォームのデザインと開発を行うことを目的とし、以下のような研究項目に関する技術開発を行った。 (A)データ同士を結びつける技術の開発:漁業に関する多様なデータ同士を関連付けるために、データの特徴や関係性を計算する技術を開発する。 (B)ユーザインタフェース技術の開発:全体を見てから細部を詳細に見るような(Coarse-to-Fine的な)ユーザインタフェースを設計する。 (C)情報表示技術の開発:視認性を考慮した情報表示(レンダリング)技術の開発を行う。 令和3年度は、上記の項目を考慮した可視化のためのユーザインタフェースをデザインし、実現のための技術開発を行った。まずは、短期的かつ地域レベルで海況と漁獲との関係を理解することを目指して、その取り掛かりとして両者の関連性を視認できるような情報可視化ツールを開発した。現時点で制作したツールのユーザインタフェースは、インタラクションにより、全体を見てから細部を詳細に見るようなものとした。具体的には、漁獲量の時系列グラフによる全体的な視認からスタートし、調査条件を満たす代表的な海況の把握、そして、海況の部分的な特徴を調査できるように設計した。そして、上記ユーザインタフェースの実現のために、対象とする海況に似た海況データを集める手法や、海況の部分的な類似性と相違性を可視化する手法などを新たに開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短期的かつ地域レベルで海況と漁獲との関係を理解することを目指して、その取り掛かりとして両者の関連性を視認できるような情報可視化ツールを開発している。現時点で制作したツールのユーザインタフェースは、インタラクションにより、全体を見てから細部を詳細に見るようなものとした。具体的には、漁獲量の時系列グラフによる全体的な視認からスタートし、調査条件を満たす代表的な海況の把握、そして、海況の部分的な特徴を調査できるように設計した。そして、上記ユーザインタフェースの実現のために、対象とする海況に似た海況データを集める手法や、海況の部分的な類似性と相違性を可視化する手法などを新たに開発した。 現時点では、海況データに水温分布画像を使用している。似ている海況データの探索には、オートエンコーダの畳み込みニューラルネットワークモデルを採用し、機械学習を行うことで類似度を算出する手法を開発した。また、部分的な類似度も算出し、類似度にカラーバーを割り当てることで、類似度に対応する色を重畳表示する手法も開発した。そして、上記の機能について、ブラウザ上で動作するウェブアプリケーションとして実装し、実利用検証を行なった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに開発した手法を基に、以下のような研究項目に関する技術開発を行う。 (A)データ同士を結びつける技術の開発:対話型の可視化システムにより多面的な理解を行えるようにするために、海況データや漁獲データなどの、漁業に関するデータを入力とするデータ処理技術を開発する。入力データ構造の複雑化に伴い、視覚と非視覚データの混在や、時系列と空間データの混在が生じる。また、データの欠損も考慮する必要がある。このような多様なデータ同士を関連付けるために、データの特徴や関係性を理解する必要がある。本研究では、次元圧縮手法や特徴抽出、機械学習などを活用して、これらの関係性を計算する技術の開発を行う。 (B)ユーザインタフェース技術の開発:全体を見てから細部を詳細に見るようなユーザインタフェースを設計し、データ全体を俯瞰して傾向を把握する視点と、局所的な詳細を調査する視点とを接続するようなシステムを開発する。本研究では、データを理解するための文脈シナリオを挙げて、多様なデータに対する柔軟な対話ができるようなユーザインタフェースをデザインする。また、データ間の比較などを容易に行うことができる対話手法も設計する。 (C)情報表示技術の開発:ユーザインタフェースの文脈に応じて、適切な情報表示方法が異なることから、本研究では視認性を考慮した情報表示(レンダリング)技術の開発を行う。具体的には、視認性を考慮したデータオブジェクトの配置手法や、対話的操作のための高速な情報表示技術の開発、そして、データの欠損や不確定性などの曖昧さを内包した情報表現技術などを開発し、実利用検証を行って、どの程度ユーザの意思決定に貢献できるかを確かめる。 (D)ツール化、コンテンツ化:研究項目(A)-(C)で開発した技術を活用した、新しいツールやコンテンツの具体化を行う。
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Causes of Carryover |
半導体不足の影響で、開発用PCの購入ができなかった。また、コロナ禍で学会の開催がオンラインになるなど、旅費が発生しなかった。ソフトウェア開発にかかる謝金業務なども発生しなかった。 次年度は、研究開発を推進するために、開発用PCの購入を予定している。また、関連学会への参加も積極的に行う。
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