2021 Fiscal Year Research-status Report
超広角投影とスクリーンの物理的・光学的な透過性制御を用いた全周囲ディスプレイ
Project/Area Number |
21K11993
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊樹 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (90619785)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 俯瞰と没入 / 選択的映像提示 / 全周囲ディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は全周囲から閲覧可能なディスプレイ(全周囲ディスプレイ)を「外から」、また「内から」眺める2つの異なる閲覧形態の融合に着目し、透過率および物理的な動的要素を持つスクリーンを用いて2つの閲覧手法を1つに統合可能な提示手法を実現することである。 初年度の計画は、上記目的のための実験が可能なハード/ソフトウェア環境を整えるために、まず前半において全周囲プロジェクタカメラ(以下、プロカム)筐体の試作を行うことであった。さらに後半では、透過率が制御可能なシート(PDLCフィルム)を組み合わせた立方体形状の全周囲スクリーンを試作し、スクリーン全周囲と周囲の環境への独立した映像投影が可能な機構を構築することであった。 この計画に基づき、本研究では実際に試作プロカム筐体を100lmおよび3000lmの小型プロジェクタ、また5000lmの高輝度プロジェクタを用いた筐体を順次試作した。レンズにはキャリブレーションが容易な画角180度の魚眼レンズを用い、購入したビームスプリッタでプロジェクタとカメラを同軸配置した。さらに、購入したPDLCフィルムを用いて立方体形状の全周囲スクリーンを試作し、プロジェクタと120Hzで同期させることに成功した。また映像投影と入力動作検出用の同軸カメラによる撮影が互いに影響なく独立して行えるようにプロジェクタ・カメラ間の同期機構の開発も行った。以上の成果で実際の試作機を用いたアプリケーションの試作が可能になり、本研究では実際に試作アプリとして、スクリーンの反対側に提示されたユーザから見えない映像の存在感を環境に投影した映像で増強するアプリ等を実装し、これらの途中成果をまとめたものをSIGGRAPH2021においてポスター発表を行った。また制作した小型筐体を応用し、アプリ開発で必要となる隠れ面への興味を掻き立てる映像提示手法を調査し国内外にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究が提案する光学的透過性および動的変形要素を持つ異なる2つの異なる全周囲ディスプレイシステムの試作開発を行うために必要な基盤技術となる超広角プロカム機構の開発を行うことができた。また、光学的透過性を持つ全周囲スクリーンの試作も予定通り進み、2年目前半に行う予定であった光学的透過性を持つ全周囲スクリーンのアプリケーション開発も一部先行して行うことができたため、当初の計画以上に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はPDLCを用いた光学的透過性を持つ全周囲スクリーンのプロトタイプの改良を行い、投影輝度および映像の視認性について改善を行っていく。また試作機の周囲を壁で囲うことで実験用の投影環境を構築し、改良した試作機を用いた俯瞰・没入の選択的提示手法を活用したいくつかのアプリケーションの開発を行い、これらを用いた性能評価およびユーザビリティ評価を行う。 また、もう1つの提案手法である動的な開口部等を作り出すことが可能な全周囲スクリーンの試作も開始し、ロールスクリーン構造等を応用したスクリーンの物理的な通り抜け要素を用いた俯瞰・没入の選択的提示が可能な試作スクリーンの試作開発も行う。
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Causes of Carryover |
初年度に高輝度プロジェクタを購入予定であったが、試作を進めていく過程で魚眼レンズを通して投影した際の映像輝度は5000lm程度で十分であったが、解像度が当初想定していたFullHD解像度(1920x1080)では十分ではなく、より高い解像度が望ましいことがわかった。 またそのため代わりとなる高解像度プロジェクタの入手に時間がかかり、購入は次年度に持ち越しとなってしまった。なお初年度は研究室にあった5500lmのFullHDプロジェクタを代わりに試作に用いることとした。 次年度はより高い解像度のプロジェクタ(4K解像度、4000lm以上)のものを早期に購入する予定である。
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