2023 Fiscal Year Annual Research Report
超広角投影とスクリーンの物理的・光学的な透過性制御を用いた全周囲ディスプレイ
Project/Area Number |
21K11993
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊樹 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (90619785)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全周囲ディスプレイ / 多重投影プロジェクタスクリーン / 半透明ディスプレイ / 透過型スクリーン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、光学的透過性を有し、物理的に開口可能なスクリーンを用いることで、全周囲(から閲覧可能な)ディスプレイを「外から」また「内から」眺めるという2つの異なる閲覧形態の融合を目指すものである。 最終年度では、初年度に開発した180度の画角を持つ同軸プロジェクタ・カメラシステム(以下、プロカム)を用い、2年目において着目した電気的に透明・不透明の切り替えが可能なPDLC素子と、低温で凍結させることで不透明化可能なシャボン膜素材を用いた2つの全周囲ディスプレイシステムの開発を継続して行った。 PDLCスクリーンは、120Hzまたは240Hzでのプロジェクタとの同期が実現でき、PDLCが不透明時はPDLC自体に、透明時はPDLCを通り抜けた環境(部屋の壁や天井)への多重(内と外の両方)投影を実現できた。またアプリケーションとして、全周囲ディスプレイの死角部分に対する補完情報を環境へ投影することアプリケーションを実装し、視認性を向上させるための補色投影技術や、投影する映像への視覚的効果を調べる実験を行った。 凍結シャボン膜スクリーンについては、シャボン膜を凍結させることで膜の不透明度を部分的に低下させ、膜自体に加え膜を通り抜けた環境への多重映像投影が可能なことを新たに確認した。さらに凍結シャボン膜の凍結温度による膜の不透明度の違い等の映像投影用スクリーンとしての基本的な性能についての調査を行い、凍結過程においてシャボン膜上に美しい氷片が対流する現象(スノーグローブ現象)を再現する冷却機構の開発も行った。また、アプリケーションとして、対流する氷片に映像を投影したり、シャボン膜の凍結過程を全周囲カメラで内側から撮影し、VRゴーグルを用いてシャボン膜の内側から凍結過程や投影映像を観測可能なVRアプリケーション等の開発を行った。
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