2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on mixed reality interactive learning materials augmenting physical experience
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21K12004
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
大島 登志一 立命館大学, 映像学部, 教授 (40434708)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 複合現実感 / 学習支援 / インタラクティブ教材 / プロジェクション / 電気回路シミュレータ / 日本の伝統色と文化 / 炎色反応 / ブンゼンバーナーシミュレーター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ICTの教育への適用とSTEAM型教育のための新しいプラットフォームを提案することを目的として、身体的な体験による学びの効果を重視し、広義の複合現実感(Mixed Reality; MR)技術の特長を活かした教育・学習システムの開発と教育現場における実装に取り組む計画とした。 研究計画では、本年度はデバイスレベルの研究段階と位置付け、多様なコンテンツへの展開を念頭にしながら、グループ体験型システムと複合現実型の実験学習システムの形式で3件のインタラクティブ教材の試作をおこなった。グループでディスカッションしながら学習できるグループ体験型システムでは、投影型の視覚ディスプレイを採用し、タンジブルなインタフェースを用いるアプローチで2件の試作をおこなった。 1件目はCARAMELと称して、電子回路をブロック型インタフェースで実際に実験できることと、ブロックの上に、その回路の電流と電圧の状況をシミュレーションして映像で投影するものである。これにより、眼には見えない電気の基礎概念の理解を深めることを目指した。 2件目はImayohClayと称し、粘土をつかって造形をおこないつつ、それをインタフェースとして色彩を混合することができる。さらに、その色を日本の伝統色の文脈で解釈して、色名とその背景となる文化や歴史の解説が表示される、文学・歴史・造形といった特定の科目や単元によらない学際的な学びを促す新たな試みである。 また3件目はHoloBurnerと称し、複合現実型の実験学習システムでは、実際の実験器具の特徴を残しながら、インタラクションとディスプレイの機能を内在し、デジタル化された対象をフィジカルに体験することのできるデバイスである。これは実際のブンゼンバーナーと空中像ディスプレイとを組み合わせ、バーナーを正しい手順で安全に取り扱うことと、炎色反応の実験が行えるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本テーマに関わって3件の教材研究を進めてきている。いずれも国内外の学会で成果発表をおこなった。電気理科教材システムCARAMELについては、情報処理学会エンタテインメントコンピューティングとインタラクションにて、デモ発表をおこなった。粘土の造形で日本の伝統色とその文化背景について学ぶImayohClayについては、インタラクションにてデモ発表をおこなった。また、これら2件について、SIGGRAPH ASIA 2022 Exhibitionにて実演発表をおこなった。さらに、これら2件とも、国際会議Laval Virtual 2022 ReVolution #Research部門にて採択された(開催時期は2022年4月)。複合現実型炎色反応実験システムHoloBurnerについては、SIGGRAPH ASIA 2022 Emerging Technologyで採択され、対面型でのデモ発表をおこなった。これらの実績に基づいて、概ね順調な進捗状況であると報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では、1年目はデバイスレベルでの研究開発とし、2年目では特にコンテンツレベルでの研究に重点を置くとしている。現在研究を進めている3件の教材システム以外にも、過去に取り組んだ教材システムの改良研究も含めて、コンテンツ面での拡充を図る。 新型コロナウィルス感染拡大の状況により、これまで実際の教育現場で運用の実験を行うことが難しい点もあったが、状況を見極めて、可能な範囲で教育現場での評価実験も行うこととする。
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Causes of Carryover |
コロナウィルス感染拡大により国際会議への参加および研究活動の計画を修正せざるを得ない状況があり、次年度使用額が生じた。 翌年度においては、計画に含まれているデバイスの試作やコンテンツの制作を増強することに当該助成金を拡充して使用することとし、成果の向上に資することを企図する。
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Research Products
(13 results)