2022 Fiscal Year Research-status Report
システム利用者の志向性を考慮した動機づけ手法の拡張
Project/Area Number |
21K12005
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
福島 拓 大阪工業大学, 情報科学部, 講師 (40714829)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔵永 瞳 滋賀大学, 教育学系, 准教授 (30634589)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 動機づけ / 志向性 / 制御焦点理論 / 避難訓練支援 / 運動支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,システム利用者の志向性を考慮した情報システムを構築し,多くの人に適用可能な動機づけ手法を明らかにすることを目的としている.実現のために,自己制御の志向性に関わる制御焦点理論を考慮した情報システムの構築,および,従来の動機づけ手法の拡張を実施する. 本年度(令和4年度)は,避難訓練支援システムに対して,制御焦点理論の中でも予防焦点を考慮した動機づけ手法の適用を行った.また,制御焦点理論の研究で従来行われていた,促進焦点得点と予防焦点得点の差を用いて促進焦点傾向,予防焦点傾向を判断する方法だけではなく,予防焦点得点を用いて予防焦点傾向を3段階に分類した結果を用いて分析した.実験の結果,目標設定機能を用いることで,志向性にかかわらず避難訓練の実施回数の増加が可能であることが示された.また,予防度が低い群の実験参加者は訓練回数が少ない場合でも実際の地震に対応できる感覚が高まる可能性が,予防度が高い群の実験参加者は予防焦点を考慮した目標設定により強い恐怖を感じて避難訓練を行いにくくなる可能性がそれぞれ示された.このように,利用者の予防焦点の傾向に合わせて動機づけを行う必要性が示された. また,志向性を考慮した運動支援システムについての研究も実施した.本システムでは日々の運動として歩数に着目し,歩数の増加支援を行う.歩数の計測は腕に装着するフィットネストラッカーを用いた.各焦点傾向に合わせた目標を提示する実験を行った結果,予防焦点傾向者は歩数の増加の可能性が示されたものの,促進焦点傾向者に対しては効果が乏しかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初に予定していた避難訓練支援システムに加えて,運動支援システムに関する研究を実施している.また,本年度に予定していた行動継続を促す動機づけ支援手法の検証を行った.これらに加え,次年度に実施を予定していた各焦点の強さに着目した分析も開始した.行動継続を促す動機づけ支援については次年度以降でのさらなる検証が必要であるものの,当初計画よりも進展していると考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
避難訓練支援システムについては,予防焦点傾向が強い人や弱い人に対する目標設定や通知内容による支援を考慮実装し,効果の検証を予定している. 運動支援システムについては,通知のタイミングや内容を制御焦点理論や目標設定理論をもとに考慮実装し,効果の検証を予定している.
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響を受け,一部の出張取りやめを行ったことなどにより,次年度使用額が生じた.本年度の残額は,運動支援システムの実験で使用するフィットネストラッカーの購入代などに充てる.
|