2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of support system for AI-based human perception
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21K12006
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Research Institution | National Institute for Basic Biology |
Principal Investigator |
渡辺 英治 基礎生物学研究所, 神経生理学研究室, 准教授 (30250252)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 錯視 / 予測符号化 / AI / 視覚 / 知覚支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトは、本研究では人の視覚のエラー現象が引き起こしていると考えられる事故を防ぐために、人の視覚を支援するAIシステムの基礎開発研究をおこなっています。人の感性に近いAIを開発することを目的とするため、人のエラー現象とも思われる視覚の錯覚である錯視現象を再現させるようにAIを学習させます。学習には人が自然に見る可能性のある各種の自然動画を使いました。錯視としては、動く錯視、色の錯視、形の錯視、位置の錯視を選定してリファレンスとしました。本年度はまずは動きの錯視についての再現について詳細に研究を行いました。 研究計画当初、動く錯視を10種と予定していたが、動く錯視の種類が予想を超えて多いことが判明したため、今回は対象の錯視を大幅に拡張して300種類の動く錯視を選定した。これに加えてネガティブコントロール群として、600種類の写真、600種類の絵画の計1500種類の画像データベースを作成しました。人は300種の錯視画像に動きを知覚し、それ以外の画像に動きを知覚することはありません。本データベースは、DNNを使った錯視研究を促進させるために論文公開前からインターネット上で公開しました。 300種類の動く錯視群に動きの知覚が再現できることを示しました。同時に写真や絵画には動きがほとんど検出されないことを示しましたが、一部の写真や絵画からは大きな動きが検出され、この動きが検出された部分から錯視様デザインを合成して心理実験を行ったところ、このデザインが動く錯視になることを発見しました。本錯視様デザインは人工知能が発見した初めての錯視のひとつとなります。本発見はDNNが表現する脳のモデルとヒトの知覚との類似性及び差異を明確に示すもので、ヒトの知覚モデルを考える上で重要な知見を提供するものです。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、主に動く錯視についての検討を行いました。計画では、動く錯視を10種類検討する予定しておりましたが、検討する動く錯視の数を大幅に増やしたこと、またネガティブコントロールの写真及び絵画を加えたことによって、その解析に時間を費やすことになりました。さらには、絵画や写真から予想をしていなかった錯視様パターンが抽出されたという当初予想をしていなかった新発見をしたことによって人を対象とした心理実験をすることになりました。 予定よりも多くの実験、解析を行うこととなりましたが、結果として、本成果は査読付きの学術論文として発表することができましたので、研究はおおむね順調に進展していると言えると思います。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進ですが、当初の計画通りに進める予定です。動く錯視につきましては、ほぼ終了しましたので、次は色の錯視10種、形の錯視10種、位置の錯視10種を選定して、錯視が生じているかを判定していきます。 錯視という主観を数値化するのは困難であるため、検出されたフローベクトルがノイズレベルを超えるか、方向が知覚と一致するかによって判定していきます。動画及び錯視ごとに判定プログラムを用意することとなります。動画予測や錯視再現が目標を下回っていた場合、学習モデルの再調整をおこないます。この目的のためには新たに教師データを収集する必要があります。撮影場所や、天候などを変更して新たな学習、もしくは転移学習を行い、一つめの目標をクリアするかどうかの検証を行っていきます。
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Causes of Carryover |
新型コロナ渦によって研究発表に関する海外渡航および海外における動画撮影など資料収集が延期になったこと、これらの研究の進展が一部遅れたことによる物品費使用の一部未執行、また2021年度は所属している研究所からの予算によって本研究に必要な経費を一部賄うことが可能となったことによって次年度使用額が生じているものである。2022年度は海外渡航が可能になり次第、すべて執行する予定である。
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Research Products
(12 results)