2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21K12012
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
笹野 遼平 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (70603918)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 意味フレーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、文脈化単語埋め込みが、人が常識として持つ経験的知識をどの程度捉えているかを明らかにすることを目的とし、文脈化単語埋め込みを用いた大規模コーパスからの意味フレームの自動構築、自動構築したフレーム知識と人手で整備された知識フレームの対応付け、日本語と英語のフレーム知識の対応付けによる言語横断的なフレームの構築、および、各言語に特有なフレームの検出等の研究項目に取り組むものである。本年度はこれらの研究項目のうち主に、動詞の意味フレーム推定の高精度化の総括、フレーム要素の推定に取り組んだ。具体的には、昨年度までに、深層距離学習を用い、文脈化単語埋め込みをフレーム推定に最適化した上で、フレーム推定に応用ことでさらに高精度なフレーム推定が可能となることを明らかにした結果をジャーナル論文としてまとめ「自然言語処理」で発表した。さらに、フレーム要素推定については、フレーム要素が付与された教師データを用いて、埋め込み空間において類似した意味役割を担うフレーム要素の埋め込みを近づけ、異なる意味役割を担うフレーム要素の埋め込みを遠ざけるように、事前学習済み言語モデルを最適化し、得られたモデルの埋め込みを利用して項をクラスタリングすることで、高精度にフレーム要素推定が可能であることを明らかにした。この結果はジャーナル論文としてまとめ「情報処理学会論文誌」に採択された。期間全体を通した成果としては、事前学習した文脈化単語埋め込みモデルを、少量の学習データで最適化し利用することで、意味フレーム推定、および、フレーム要素推定を高性能に実施可能であることを明らかにし、最新の文脈化単語埋め込みモデルが、人が常識として持つ経験的知識をある程度捉えていることを確認した。
|