2022 Fiscal Year Research-status Report
コネクテッド自動運転車の協調認識を使用したサイクリストの安全性向上に関する研究
Project/Area Number |
21K12019
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
古 艶磊 立命館大学, 情報理工学部, 講師 (40704838)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自動運転 / サイクリスト / スマートフォン |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、自動運転が直面する主な課題の一つとしては、人間が運転する自動車、歩行者およびサイクリストが混在する状況における運転である。本研究は、協調認識手法を使用することによって、サイクリストの意図を予測し、自動車と自転車の事故を低減することを目的とするものである。 (1) 交差点では自動車とサイクリストの経路および移動時間が重なる、自動運転車が交差点でのサイクリストの横断意図を推測できるようにすることは、安全な運転のために不可欠である。今年は、信号のある交差点でのサイクリストの横断意図を推測するインテリジェントな監視システムを開発した。提案したシステムは、単眼カメラでサイクリストを検出、追跡し、位置推定するものである。交通信号の状態、自転車の速度、位置、方向を特徴量として、サイクリストの意図を横断、停止、方向変更に分類して予測する。このシステムは、サイクリストの意図を90%以上の精度で予測するものである。 (2) 走行速度や加速は、サイクリスト意図を示す重要な情報であると考えられる。しかし、自動車に搭載されたセンサーは、検出能力あるいは検出の範囲が、気候および環境条件により物理的に妨げられたり弱められたりするという困難に直面している 。本研究では、サイクリストのスマートフォンに適用する速度推定機能の開発を提案した。速度情報は、V2X通信により、自動運転車への共有が可能であると考えられる。昨年提案したシステムにおいて採用した加速度センサーとジャイロセンサーを加え、今年度はスマートフォンのカメラセンサーを追加し、サイクリストの速度を推定する。実験結果から、提案する方法が従来からの方法や昨年提案した方法を上回る性能を有するものであることが実証された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、サイクリストの意図を予測し、自動車と自転車との事故を低減するために、コネクテッド自動運転車の協調認識システムを開発することにある。昨年の研究は、車載センサーからサイクリストの意図を推定することに着目したものであった。今年は、サイクリストの意図を推定するシステムを二つ開発した。1つ目は、信号のある交差点でサイクリストの意図を推定するインテリジェント監視システムである。2つ目は、サイクリストのスマートフォンをベースに開発したもので、スマートフォンに搭載された加速度センサー、ジャイロセンサー、カメラセンサーを利用して、サイクリストの速度を推定することができるシステムである。この2つのシステムは、自動運転車の車載センサーシステムを補償するものである。本研究成果は、2本のジャーナル論文と3本の国際会議論文に掲載されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、大半の自動運転車メーカーが、車両に車載されたセンシングとインテリジェンスに依存する車両自動化技術の開発に取り組んでいる。しかし、自動運転車に搭載されたセンサーは、検出能力あるいは検出の範囲が、気候および環境条件により物理的に妨げられたり弱められたりするという困難に直面している。したがって、協調認識の概念(例えば、インフラストラクチャー、または他の道路利用者への通信)を探求する必要がある。スマートフォンは個人用コンピュータープラットフォームとして最も頻繁に使用されるものである。また、スマートグラスは、次世代ウェアラブルセンサーの代表格である。スマートグラスに搭載された視覚センサーや運動センサーが捉えた画像から、サイクリストの意図を明らかにすることができる。本研究では、サイクリストのスマートグラスが捉えた情報をもとに、サイクリストの意図を認識するシステムを開発することを予定している。スマートグラスから予測されたサイクリストの意図は、サイクリストと近くの車両との通信を介して送信され、潜在的な衝突を回避することができる。また、車載のLiDARセンサーからサイクリストの意図を認識することの実現性についても検討する。
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Causes of Carryover |
残りの予算は当初、2022年の論文出版に使用する予定だったが、論文の投稿と査読が遅れたため、使用できず次年度使用が生じた。 残りの予算は、来年の論文発表に使用する予定である。
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