2021 Fiscal Year Research-status Report
グラフ構造のダイナミクスを模倣する確率的形式グラフ体系の学習可能性の探究
Project/Area Number |
21K12021
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
正代 隆義 福岡工業大学, 情報工学部, 教授 (50226304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 哲浩 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (90209932)
内田 智之 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (70264934)
鈴木 祐介 広島市立大学, 情報科学研究科, 助教 (10398464)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 機械学習 / 形式グラフ体系 / 確率的形式グラフ体系 / グラフ生成規則 / グラフ系列マイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、グラフ構造を持ったデータ、例えば化学化合物の分子構造や社会学におけるソーシャルネットワークなどが、どのように生成され、変化していくかというグラフの動的な構造的変化を直接扱うことができる形式体系として確率的形式グラフ体系の導入を行い、その学習理論を構築することを目標とする。2021年度は、確率的形式グラフ体系の学習理論の基盤を確立するために、計算論的学習理論における学習モデルである(1)質問学習と(2)PAC学習で、形式グラフ体系とその項となる項木パターンの学習アルゴリズムの計算量を議論した。具体的には次のとおりである。 (1)質問学習において, 先行研究では、線形順序項木パターン言語族が1つの正例と正例のサイズの2乗回の所属性質問を用いて質問学習可能であることが示されている。本研究課題では、線形順序項木パターン言語族の部分族が、1つの正例と正例のサイズの線形回の所属性質問を用いて質問学習可能であることを示した。 (2)PAC学習は確率的で近似的に正しい学習の数学的解析フレームワークである。本研究課題では、形式グラフ体系のPAC学習可能性を議論した。まず、変数独立な遺伝的形式グラフ体系言語のクラス(VHFGS)を定義し、VHFGSの階層をVHFGS(m,s,t,r,w,d)で表現した。ここで、m,s,t,r,w,dはそれぞれグラフ書き換え規則の個数等の形式グラフ体系の表現におけるパラメータ群である。さらに同クラスに属す形式グラフ体系言語のサブクラスとしてVHFGS^{ind}_{k}(m,s,t,r,w,d)を導入した。ここで、kは同クラスに属す形式グラフ体系により生成されるグラフの木幅の最大数を表す。本研究課題では、VHFGS^{ind}_{k}(m,s,t,r,w,d)が、もしm,s,t,r,w,d,kが定数ならば多項式時間PAC学習可能であることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の研究期間内における具体的な到達目標の一つとして、計算論的学習における学習モデルのうち正例からの帰納推論及び質問学習に関する時間・領域計算量を詳細に解析し、実用的な学習アルゴリズムの開発があった。この目標に従って研究を進め、線形回の所属性質問によるグラフパターンのサブクラスの学習アルゴリズムを提案した。また、確率的形式グラフ体系を導入するにあたって、形式グラフ体系がその表現においてどの程度の複雑さを持つかを明らかにする必要があったので、多項式次元を持つ形式グラフ体系のクラスを示した。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究成果を踏まえ、確率的形式グラフ体系の学習理論を展開する。まず、確率的形式グラフ体系に対して、「分布学習」アルゴリズム技術の適用可能性を議論する必要がある。すなわち、分布学習可能な形式グラフ言語クラスの階層的位置づけを明確にする。2022年度前半は、2021年度に引き続き、形式グラフ体系の質問学習、PAC学習の基礎的研究を行う。また、正例からの帰納推論に関する時間・領域計算量を詳細に解析し、実用的な学習アルゴリズムの開発を行う。2022年度後半には、最終年度に向けて、グラフマイニングシステムのソフトウェア及びハードウェア両面からの高速化を議論する。
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Causes of Carryover |
物品費及び国内の全国大会・研究会等の旅費・参加費はおおむね計画通りに使用している。ただし、当初予定していた論文掲載のための諸費用が、論文審査中のため未使用となっている。また、国際会議の旅費・参加費を中心に使用予定の残額が生じている。2021年度に使用できなかった残額は、2022年度において、複数の論文掲載費及び分担者、共同研究者との研究打合せに伴う旅費、研究会等の参加費などに使用する計画である。
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Research Products
(6 results)