2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K12056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 同期 / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎的な動的過程を最適化するネットワーク構造を理解することは、様々な生命システムの理解や工学的応用の観点から不可欠である。本研究では振動子ネットワークにおけるいくつかの動的過程に着目し,特定の機能や動的性質を実現・最適化するネットワーク構造を明らかにする。2022年度は複雑なネットワークで相互作用する3体の振動系の秩序形成や動的性質を明らかにした。複雑なネットワークには、ネットワークの接続性に基づいて定義されたコミュニティが存在することが多い。また、ネットワークにダイナミクスが生じる場合、同様の動的過程を示すノード群、すなわち動的コミュニティを考えることができる。我々は、位相振動子ネットワークにおいて、振動数同期したノード群をコミュニティと呼び、動的なコミュニティ構造の発達を解析的、数値的に調べた。まず、いくつかのネットワークの具体例を用いて、ネットワークの接続性や相互作用の強さを変化させると、コミュニティ構造が変化することを実証した。特に、コミュニティスイッチング(一部の振動子が同期するグループを変更すること)が、ある範囲のパラメータで発生することを見出した。そこで、コミュニティ形成とその変化を理解するための理論的枠組みとして、3つの蔵本位相振動子の相互作用モデルを提案した。解析の結果、このモデルは様々な部分的な同期パターンを示すことがわかった。固有振動数の近い振動子は弱い結合で同期する傾向があり、密に結合した振動子は強い結合で同期する傾向がある。弱結合領域では摂動的アプローチ、強結合領域では幾何学的アプローチを用いて、臨界結合強度の近似式を得た。さらに、異なるパターン間の遷移における分岐の種類を明らかにした。この理論は、コミュニティ構造ネットワーク以外の複雑なネットワークにおける部分同期パターンの発達を理解するのに有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の成果を出版する。また、他の研究課題に取り組む。
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Research Products
(4 results)