2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K12056
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 同期 / ネットワーク / ゆらぎ / 緩和 / 熱効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
基礎的な動的過程を最適化するネットワーク構造を理解することは、様々な生命システムの理解や工学的応用の観点から不可欠である。本研究では振動子ネットワークにおけるいくつかの動的過程に着目した研究を遂行している。2023年度は(i)振動子ネットワークの緩和現象に関する研究、(ii)物理的振動子ネットワークの作る流体の流れに関する研究、そして、(iii)2つの熱エンジンの同期が熱効率に与える影響に関する研究に取り組んだ。(i)小さな摂動の範囲では同期解近傍での線形化が有効であり、線形化に基づいて緩和時間の表現を求めた。従来緩和時間は安定性行列の固有値の実部で特徴づけることが一般的であったが、本研究ではゆらぎの輸送に着目し、固有値の虚部が本質的な役割を果たすことを見出した。この効果は特に大きなネットワークで顕著である。(ii)ストークス流れにおいて1次元軌道を往復運動する質点の集団が作り出す流れに関して摂動論的近似理論と数値計算に取り組んだ。隣り合う振動子が適切な位相差で作動すると強い流れが作られることを見出した。繊毛集団にみられる位相波の理解を深めた成果である。(iii)スターリングエンジンと呼ばれる熱エンジンを2つ相互作用させると、エンジンの周期的運動が同期する。このとき、独立に作動している場合に比べ、熱効率が上昇する。特に、2つの振動子が振動数を一致させるとき、熱効率が最大となる。この原理を用いれば小さなエンジンの熱効率を上昇させられると期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画されていた研究を順調にこなしている。また派生した課題にも取り組めている。
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Strategy for Future Research Activity |
論文の出版、成果の発表に重点的に取り組む。
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Causes of Carryover |
ほぼ順調に予算執行できたが、物品費が想定よりかからなかった。論文発表、研究成果発表などに注力することによって予算執行を進める。
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Research Products
(3 results)