2022 Fiscal Year Research-status Report
An epidemic simulation based on a multi-agent system distributed in a continuous space
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21K12064
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
畝見 達夫 創価大学, 理工学部, 教授 (50151915)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染シミュレーション / マルチエージェントモデル / 人流・集会モデル / 合成人口 |
Outline of Annual Research Achievements |
個体ベース感染シミュレータの機能については、個体ごとの居住場所および通勤通学先の地理的分布について、国勢調査のデータをもとにした個体の年齢情報を加味した家族構成および日常的移動行動の再現をある程度可能とするモデルを構築し、複数の方法について実装を試みた。令和3年末から新型コロナ感染症の流行が感染性の高いオミクロン株が主要となり、年少者のワクチン接種が遅れていたこととも相まって、幼稚園、小学校、家庭が主な感染源となった。このような状況をシミュレートするには、それらの集団間での人の行き来を再現する必要がある。東京都区部をモデルとした配置では、多層階の住居及びオフィスなどについて、もっともらしい配置が可能であることが確認された。しかし、令和4年7月の第7波の状況をシミュレートした結果、国勢調査データでは、大規模な事業所や大学等では、勤務先・通学先の地理情報が当該住所でしか表現されず、敷地内あるいは建屋内での適切な分散配置を行う必要があることも明らかとなった。 計算設備の増強および並列アルゴリズムの改良により、100万人規模のシミュレーションを128とおりの異なる乱数系列を用いて数万ステップ分を数時間で実行することが可能となった。 個体の空間分布の推移および統計指標の視覚化の技法と結果の例については、その複雑性から、それらを生成的アートとみなせる点に着目し、第25回生成的アート国際会議(ローマ)にて、発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シミュレータの基本機能については、ほぼ完成に近づいた。macOS アプリ版およびサーバ版については、新型コロナ感染症の流行状況に合わせたシミュレーションを都度実施し、実績の再現や、複数シナリオを想定した将来状況の把握に利用した。 Linux サーバ版の実装については、大学院生の協力のもと、令和3年度に引き続き開発を進めている。シミュレータのコア部分はほぼ完成し、同時並行的に投入されるバッチジョブの効率的なスケジューリング機能についても実装を進めている。 タワーマンションや高層のオフィスビルを想定した 2.5次元空間での個体集団の配置について、複数のアルゴリズムを実装し、評価を行いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度となるため、構築したインタフェースを含むシミュレーションシステムの機能を再考し、過剰に詳細な部分は削除し、モデルの適切化をはかる。視覚化のためのグラフィカルユーザインタフェース、描画機能、統計指標の実時間表示、バッチ処理のためのプログラムインタフェースについても、実行環境となるプラットフォームごとに整理し、利用者マニュアル、および、モデルやアルゴリズムについての詳細な技術情報の文書をまとめる。計算の大規模化と高速化について、最新の高速演算装置の機能を踏まえ、できるかぎり計算の効率化を進められるようアルゴリズムおよび実装方法の工夫に努める。
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Causes of Carryover |
ソフトウェア開発を補助する学生の都合によりアルバイト代に3時間分ほどの余剰がでた。新年度のアルバイト費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)