2021 Fiscal Year Research-status Report
近接覚センサに基づく非接触の触探索動作による高精度物体形状認識手法の開発
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21K12072
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 陽介 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (20582331)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近接覚センサ / ロボットハンド / 形状認識 / マニピュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多指ロボットハンドの指先表面上に被覆実装可能な近接覚センサを設計・開発し、人の生活空間に多く存在する未知物体に対する高精度な3次元形状モデル構築を可能とすることである。研究課題として、主に、①未知物体との安全な接近・接触を制御しながら形状情報を取得するためのセンサ開発、②精度良くかつ効率的に3次元形状を得るための多指ロボットハンドの動作計画に分類している。 課題①のセンサ開発として、近接覚情報に基づく反射動作生成/シンプルな制御則による接近・接触動作生成/対象物表面の局所形状認識を実現するためのセンサ設計開発を行った。このセンサは球冠形状の指先に被覆実装可能であり、ロール・ピッチの2方向に±40°の検出範囲を持つように設計された。広い検出範囲と等方性ある指先形状により、接近物体の方位を検出して反射的な動作生成による接近状態の制御が容易となるようにした。また、センサ表面を透明樹脂で覆うことで、生活空間でのタスク遂行において問題となる水濡れや破損のリスクに対応した。これは透明樹脂内部での赤外光の反射経路を制限する設計によって達成された。 課題②の3次元形状取得について、対象物全体形状よりも、局所形状の認識技術開発に重点を行って開発を行った。具体的には、ある時刻において近接覚センサが観測している対象物表面上の局所領域における曲率を精度良く推定する手法の開発を進めた。その理由は、近接覚センサの出力値から空間上の対象物表面を示す点群を生成する際の精度において、曲率の存在によるキャリブレーション誤差の影響が大きいためである。そこで未知形状の対象物に対して、点群生成と局所曲率推定に基づく補正を繰り返し行う手法を開発した。現在、その精度向上効果の検証と改善を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究における課題として当初想定した4点(光学シミュレーションに基づくセンサ設計/動的キャリブレーションによる精度向上手法の開発/表面全体の効率的探索のための軌道生成アルゴリズム/関心領域の逐次決定と軌道修正アルゴリズム)のうち、1点目のセンサ設計は完了した。2点目の動的キャリブレーションに関しては、現在までに局所曲率の影響を考慮した手法を開発している。曲率以外の補正対象として、センシング時の相対姿勢の影響と対象物の反射特性の影響を想定している。3点目については未着手であるが、2点目の課題の解決により点群の高精度化が成されれば、点群の欠落箇所の推定とそれを補う動作計画をスムーズに進められると考えている。4点目についてもほぼ未着手であるが、物体把持における関心領域として把持に有利な局所形状を選択するというアプローチを採用予定であり、そのために現在進めている局所曲率推定が活かされるように進めている。 以上より、全課題のうち4分の1余りが完了しており、その成果を以降の開発に活かされるように計画的に進行できていると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、現在進行中の動的キャリブレーションによる3次元点群の精度向上に取り組む。まずは局所曲率推定に基づく補正によって高精度化手法の実装・評価を行う。次にセンシング時の相対姿勢の影響の補正は局所曲率と同様のアプローチによって実行可能と想定されるためこれに着手する。一方、反射特性の影響の補正は、現在使用している反射光強度を利用した近接覚センサ単体では不可能であり、他のセンシングモダリティとしてTime of Flightセンサあるいは深度センサとの統合利用が必要となる。現在はアプローチを検討する段階であり、慎重に開発を進める予定である。 第二に、関心領域の逐次決定による選択的な形状推定の方法について取り組む。これまでに進めてきた局所形状推定は、少ない把持点や弱い把持力でも高い把持安定性を実現するのに有利な凹形状の探索に応用できる。未知物体を精密把持する目的において、全形状を網羅的に探索するよりも、把持に有利な点を積極的に発見して利用する把持戦略を重要と考え、その実現に向けた取り組みに着手することを予定している。
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Research Products
(2 results)