2021 Fiscal Year Research-status Report
「動き」がデザインの評価に与える影響についての実証的研究
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21K12085
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
長坂 一郎 神戸大学, 人文学研究科, 教授 (10314501)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | デザイン論 / 「動き」 / フローズン・エフェクト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、「課題 1: デザイン対象物を用いたフローズン・エフェクトの再現実験」をファッション・デザインを題材として行った。具体的には、Covid-19 の影響から実験は Web 上で行い、Web 上での購買状況により近い形で行うこととなった。その結果、ファッションデザインでも Frozen Effect が再現することがわかり、また、服の種類や使用方法によって、その評価が有意に異なることが明らかになっている。15 名に対して、4 カテゴリー(スカート、 シャツ、パンツ、ジャケット)の服をぞれぞれ 8 着ずつ、計 32 着の衣服を用意し、それぞれの 動画(1秒間、1280 × 720 ピクセル、30fps)と、その動画を構成している静止画 30 枚をランダ ムに被験者に提示した。提示される画像は、動画 32、静止画 960 枚の計 992 であり、動画と画 像がランダムな順序で提示された。この刺激を Web 上で被験者に提示し、「全く魅力的でない」 から「とても魅力的である」までの7件法で評価してもらった。この実験の結果、動画と静止画の間には明らかな差がすでに見られており、フローズン・エフェクトがファッション・デザインの領域においても再現されることが確認された。次に、「課題 2: 「動き」の種類によるデザイン評価の変動の測定」であるが、初めにファッション・デザインを題材とし、「動き」を 3 種類用意して実験をする準備を進めている。本実験も今のところ Web 上で行われる可能性が高いが、感染対策を十分に行った上で、対面による実施することも視野に入れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者が所属する部局の研究科長となり、さらには Covid-19 の影響により研究の進捗は若干の遅れを見せていたが、繰越により、遅れを挽回しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、引き続き「課題 2: 「動き」の種類によるデザイン評価の変動の測定」を進める。また、ファッションに限らず、様々なデザイン対象物についても同様に検証する。まずは、ディスプレイ上の 2D 対象物の様々な動きに対するフローズン・エフェクトを測定することを予定している。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属する部局の研究科長となったため、研究に従事する時間が著しく減少したこと、さらに、 Covid-19 の感染状況によって、海外での成果発表が行えなかったことが次年度使用額が生じた主な理由である。本年度は、Covid-19 の感染が収まれば海外にて成果を発表する機会も訪れるかもしれないが、期待薄である。そのため、本年度は「課題 2: 「動き」の種類によるデザイン評価の変動の測定」を行う費用として繰越金を当てる予定である。
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