2022 Fiscal Year Research-status Report
数値処理により変化する左右空間への注意とその神経基盤
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21K12089
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Research Institution | Gunma Paz University |
Principal Investigator |
洞口 貴弘 群馬パース大学, リハビリテーション学部, 講師 (50447249)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メンタルナンバーライン / 視空間座標 / 体軸座標 / 視覚刺激 / 触覚刺激 / 数字処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、例えば音がしたり光が点滅したりしたら、そちらを向くだろう。それは、ある方向からの光や音といった視聴覚情報を受容したことでその方向に注意が向いたためである。このように、我々の注意は、様々な感覚入力により、常に向きを変えている。音情報を処理する能力を聴覚、光情報を処理する能力を視覚と 言うならば、数字の情報を処理する能力を数覚と言う(Dehaene, S., Oxford University Press, 2011)。小さな数字の処理では左に、大きな数字の処理では右に注意が向くことが知られており、その理由として、メンタルナンバーラインという左から小さい順に数が視空間座標上に並ぶ仮想的な数直線が活性化されることが考えられているが(Fischer, M. H. et al., Nat. Neurosci., 2003)、体軸を中心とし、右手から左手にまたがる座標上にもまた、そのような数直線があることが考えられる。 本研究課題は、(1)数字を提示し、その後数字の左または右に視覚刺激を提示する課題の作成、(2)(1)と同様だが、左手または右手にアイソレータと振動モーターを用いて触覚刺激を提示する課題の作成、(3)被験者を用いての(1)(2)の課題の検証、(4)被験者頭頂連合野に経頭蓋直流電流刺激(tDCS)を与えて不活化し、視空間座標および体軸座標のメンタルナンバーラインの活性化に関わるかどうかを検証する、と言うものである。2021年度は、(1)、(2)までを行った。2022年度は(3)、(4)を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響により、(3)のみの実施となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、数字を提示し、その後視覚刺激を表示でき、かつ、高精度でトリガー刺激を出力することでアイソレータを作動させて振動モーターを駆動させることができるソフトウェアを購入して研究実績の概要に記載した(1)および(2)の課題を作成した。2022年度は(3)、(4)を行い、実際に数字の処理に伴い注意が向く方向が変わるかどうかを検証し、そこに頭頂葉がどのように関わるかを検討することを目指した。 しかし、2022年度は引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、健常被験者の協力が必要となる(3)の実施も限定的となった。またその際、本研究に関連したさらなる新たな結果が見出され、そちらも実施してたため全体的に実施がやや遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、研究実績の概要に記載した(3)および(4)の課題を用い、新型コロナウイルス感染症の影響が少なくなった段階で実験を実施するつもりである。2023年5月半ばから、当該感染症に対する大学や政府の方針が緩和されつつあるため、好機を逃さず実験を実施したいと思っている。
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Causes of Carryover |
2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響が多少緩和されたためか全世界的にPC関連機器および実験関連機の価格が落ち着いたため購入したが、当該感染症により、実験が遅れたり(あらたな知見が得られこともあったたため)、国際学会(@アメリカ)への渡航を断念したため、次年度使用額が生じた。 今年度は、国内の新型コロナウイルス感染症に対する大学や政府の方針が緩和されつつあるため、足りない実験を行い、本研究で得られた知見を国際学会で発表し、同時に論文にして提出していく計画である。
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