2023 Fiscal Year Annual Research Report
高確度なイン・シリコ創薬を目指した新規分散力エネルギー評価法の開発
Project/Area Number |
21K12132
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Research Institution | Nagasaki International University |
Principal Investigator |
吉田 達貞 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (80527557)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分散力エネルギー / イン・シリコ創薬 / 分子軌道法 / 分子間相互作用 / レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、簡便かつ高精度な分散力エネルギーの評価法について継続的な開発と改良を行い、生体巨大分子に対する実用性を実証することである。最終年度は、本手法のインシリコ・スクリーニングへの適用を行った。 すでにX線結晶構造が解かれているタンパク質・タンパク質相互作用を阻害する低分子化合物とタンパク質との複合体10構造のデータセットについて、ドッキング計算による4~5個の結合ポーズの中からネイティブに近い結合ポーズを適切に選定できるかどうかを非経験的フラグメント分子軌道法と本分散力評価法を組み合わせて検証した。その結果、ドッキングで用いられるスコア関数や古典的な分子力場法(MM-GB/SA法)と比較して良好な結果を得ることができた。次に、MytiLec-1の単量体状態のMD計算から得られた複数のスナップショットに対して二量体形成における会合面を標的とした低分子化合物の網羅的なドッキングを行った後、本手法を用いたMytiLec-1と化合物間の結合自由エネルギー変化の評価によりいくつかの候補化合物を絞り込んだ。MytiLec-1中の各アミノ酸残基と化合物間の相互作用エネルギー解析の結果から、水素結合や静電相互作用に加えて、会合面の疎水性アミノ酸残基との分散力相互作用が重要となることを定量的に示した。最終的に、MytiLec-1と候補化合物との複合体構造について短時間のMD計算を実施することで、候補化合物が結合部位から遊離することなく強固な結合を維持できる可能性が示唆された。
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