2021 Fiscal Year Research-status Report
デフォルメされたマップでのユーザー指向な屋内ナビゲーションの実現
Project/Area Number |
21K12135
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅谷 至寛 東北大学, 工学研究科, 准教授 (80323062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 智 東北大学, 工学研究科, 助教 (10755101)
大町 真一郎 東北大学, 工学研究科, 教授 (30250856)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歩行者ナビゲーション / 位置推定 / computer vision |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者らは、掲示されたフロアマップとスマートフォン内蔵のセンサだけで、施設管理者の協力がなくても屋内ナビを実現できる「ユーザー指向」な手法の研究開発を行ってきたが、デフォルメされ歪みの大きいマップも存在する。そのようなマップはこれまでの手法では対応できないことがわかっており、本研究課題ではユーザの負担にならない方法で歪みのあるマップに対応できる手法を開発することを目的としている。 当該年度では、歪みのあるマップでの推定精度を改善するために、マップマッチングに用いる粒子フィルタの処理の改良を行った。交差点や曲がり角のマップ上での位置と、方向転換ステップの推定位置を利用して縮尺を求めて保存しておき、粒子の縮尺の候補として利用する。また、マップの縮尺が一様でない場合に、位置と縮尺の両方について同時に正しいパラメータを持つ粒子が存在する確率は非常に低いが、各々は正しい場合が少なくないという観察に基づき、方向転換時に粒子のパラメータをシャッフルする手法を提案した。これらにより、多くの歪みのあるマップでの位置推定精度が向上した。 また、従来手法でもマップの小さなデフォルメに対応するために通路方向を利用していたが、広場領域において粒子の進みすぎ、進まなすぎが発生していた。この問題に対処するために、粒子の方位を補正する新しい手法を提案した。この手法では補正の閾値と量を通路の確信度によって動的に変化させ、無理のない補正を行う。これによって、従来よりも高い推定精度が得られることを実験によって確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,粒子フィルタによる位置推定モデルの改良を行った.粒子は位置と縮尺のパラメータを持っているが,両方が同時に正しいことが少ない事実に着目して,方向転換時にそれらのパラメータをシャッフルすることで歪んだマップでの推定精度が向上することが分かった. また,粒子の方向を補正する新しい手法を提案した.従来手法でも通路の方向を用いた粒子の重み設定を行っていたが,粒子が交差点を挟んで進みすぎたり進まなすぎたりする副作用があることが分かっていた.当該年度の研究による新しい手法では,粒子の重みではなく移動方向を交差点からの距離に従って緩やかに補正することで,この問題を回避しており,実験によって性能向上を確認できた.なお,これを実現するために,マップの解析モデルの学習方法にも改良を加えている. 以上のことから,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
すれ違い通信などcollaborativeな手法による位置補正と縮尺の推定について検討する.二人のユーザがすれ違うとき,それぞれが異なる縮尺パラメータを持っており,より正しい方を選択できれば推定精度が向上する可能性がある.また,それぞれのユーザは異なる経路を辿ってきており,その経路の局所的な推定縮尺を別のユーザが利用できれば歪のあるマップでの推定精度向上に寄与できると期待される.より多数のユーザの局所的な縮尺情報を蓄積して利用する方法も検討する. また,マップからの情報抽出,天吊り案内板を利用した位置推定手法の汎用化についても検討していく.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由)新型コロナウイルスの影響により多くの学会がオンライン開催となったため,学会発表や情報収集のための旅費が発生しなかった.また,年度終わりごろに開発用PCおよび外部記憶装置を調達する計画であったが,昨今の半導体不足の影響により納期が間に合わない可能性があったため次年度の調達に変更した.なお,現有設備で研究開発を進めており,影響はこれまでのところは軽微である. (使用計画)次年度請求額と合わせ,本年度に調達予定であった器機を調達して研究開発を促進するほか,次年度の研究遂行のために使用する予定である.
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Research Products
(1 results)