2021 Fiscal Year Research-status Report
Detecting lost tourists using a learning method based on behavior history and geospatial information
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21K12140
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
笠原 秀一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 特定講師 (00784191)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 観光情報学 / パターン認識 / GPS軌跡 / 逸脱行動検出 / 道迷い検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の研究は、道に迷った観光客が、道に迷ったことに気がつく前に、システムが道迷いを検出する手法を開発することを目指している。実時間情報に応じて人がダイナミックに行動や目的地を変化させる観光行動では、最短経路からの逸脱を異常と見做す手法では道迷い検出は難しい。また、観光客が意図した「寄り道」と意図しない「道迷い」を区別することも難しい。研究代表者らは、これまでに取り組んだ観光行動モデルの構築や、道路ネットワーク・土地利用情報を考慮したパターン認識手法の知見に基づいたアプローチを提案している。本研究は人の意図しない行動を検出する試みであり、パターン認識の分野における行動意図推定の発展系と位置づけられる。学習型異常検知手法に地理空間情報を織り込むあらたな手法の開発にも繋がっており、学術的に重要な研究である。観光分野以外にも、自動運転や介護と行った分野への波及効果も期待できる。 本研究課題では3年間の研究期間を設定し、以下の要素技術の開発を行う計画を立てている。 1.混合ガウスモデルを用いた逸脱行動の検出技術の改善(2021年度)、2.行動履歴と地理空間情報を用いたオフラインでの道迷い検出技術の開発(2022年度)、3.上記の道迷い検出技術のオンラインへの展開と評価(2023年度)。 本研究以前にもある程度の道迷い行動履歴を収集したが、数量が十分ではない。そのため、2021年度は企業や自治体と連携して、追加データセットの収集を試みたが、COVID-19の感染拡大の影響で思うに任せなかった。代替となるデータセットの入手には成功しているが、データ形式や地域が想定と異なるため、データクリーニングや分析環境の準備に予想以上の時間を取られており、計画より進捗が遅れている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、本課題の研究に必要な観光客の移動軌跡、特に逸脱行動をしている移動軌跡を収集する為、修学旅行を実施している中学高校に依頼して、移動軌跡を収集することを試みた。その為、研究代表者が所属している京都大学および近隣研究機関の観光情報学の研究者や、旅行代理店、地方自治体と連携する枠組みを構築し、京都への修学旅行の比率が高い関東地方を中心に、学校への実験参加の依頼を行った。年度当初は、COVID-19の感染が落ち着きを見せており、協力を検討する企業や学校もそれなりの数存在した。だが、期の半ばよりオミクロン株に起因する感染状況の悪化が生じ、それに伴う修学旅行実施校の急減に直面し、残念ながら、今年度は協力校を獲得することが出来なかった。 修学旅行生のデータセット収集が出来なかった事に対応し、研究代表者らは逸脱行動の移動軌跡を収集する試みをあらたに二つ行った。まず、京都に多く在住している外国人留学生の協力を得て、京都市内を周遊して貰い、その軌跡をスマートフォンを用いて収集した。前後にはアンケートも実施し、行動の詳細や理由も調査した。獲得したデータ数は約20である。また、低層山岳における道迷いと都市内における逸脱行動の類似性に着目し、登山支援アプリケーションサービスを提供する企業から匿名化された登山者のデータセットの提供を受けた。山域は大文字山近辺であり、約1000万行ある。但し、登山者以外のデータも含まれており、クリーニングを進めている。 現在、過去に収集した移動軌跡データセットと、あらたに獲得したデータセットから逸脱行動を抽出し、混合ガウスモデルを用いた逸脱行動の検出技術の改善を進めているが、着手が遅れたこともあり、まだ十分な精度の改善には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したように、COVID-19の影響が有り、研究は計画よりも若干遅れているが、十分取り戻せる程度であるため、当初の計画通り研究を進める。2022年度は、行動履歴と地理空間情報を用いたオフラインでの道迷い検出技術の開発を行う。この手法によって検出された逸脱行動に対し、移動軌跡や逸脱度などを要素とする特徴ベクトルを用いたニューラルネットワーク深層学習手法により、行動全体にわたるデータを利用できるオフライン状態で、寄り道と道迷いの2クラス分類手法を開発する。観光客の移動軌跡から得られる情報だけでは分類は難しいと予測されるため、土地利用や道路ネットワークの情報を特徴量として加味することにより、精度の高いクラス分類を実現する。研究代表者らはこれまでも実時間や土地利用情報を考慮した研究を行っており、その成果を活用する。また、2021年度にあらたに獲得した登山者データセットを用いた研究も進める。山岳地では道路ネットワークが十分整備されておらず、しばしばルートに変更も生じるため、あらたな知見が必要となる。 2023年度は、道迷い検出技術のオンラインへの展開と評価を行う。また、開発した手法を実際の観光客に利用して貰い,性能を評価する。
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Causes of Carryover |
COVIDの影響により、研究に遅れが生じたため、想定していた出張や物品購入を先送りした。
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