2023 Fiscal Year Research-status Report
Optimizing Asynchronous P2P Negotiations for Sharing Distributed Tasks and Resources
Project/Area Number |
21K12144
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Research Institution | Advanced Institute of Industrial Technology |
Principal Investigator |
林 久志 東京都立産業技術大学院大学, 産業技術研究科, 教授 (70426609)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マルチエージェント / 分散人工知能 / タスク・リソースシェア / 自動交渉 / マルチエージェントシミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる組織間におけるタスクやリソースのシェアリングは、学術的には複雑な資源配分問題における解の構造の解明において重要な課題であるとともに、社会的には業務の効率性において実現が急務とされる課題である。タスクやリソースは当事者同士で交渉して合意すれば、担当・所有者を変更することができる。しかしながら、タスクやリソースを個人や組織間で移動するには時間がかかる。一方、現実世界の多くのタスクは限られた時間内に処理しなければならない。本研究では広域で非同期的に緊急度の異なるタスクが多発する場面を想定する。制限時間内に完了できないタスクを減らすため、移動時間と制限時間を考慮し、タスク・リソースシェアリング交渉を限られた回数で効果的にまとめるためのP2Pシェア交渉AIサポートシステムを考案する。その効果はシミュレーションで検証する。これが本研究の目的である。 2021年度および2022年度では、病院間で患者治療タスクのシェアを実現する応用シナリオにおいて、タスクシェアのためのアルゴリズムやフレームワークを実装・評価し、国際会議IEEE WI-IAT 2021およびKES AMSTA 2022で発表した。それに対し、2023年度では、組織間での人材のシェアを題材に、仮想コインを用いた組織間でのリソースシェアのためのアルゴリズムやフレームワークを実装・評価し、2つの国際会議IIAI AAI SCAI 2023およびIIAI AAI 2023 Winterで発表した。また、この人材リソースシェアの応用として、社員のリスキリング教育を推進するための仕組みを実装・評価し、国際会議KES AMSTA 2023で発表した。現在、これらの国際会議論文の発展版を随時執筆し、論文誌へ投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎年、タスクシェアおよびリソースシェアに関する新しい研究成果を出し、論文発表しているという点において、本研究は順調に進んでいるといえる。2023年度は、特に、リソースシェアなどの人材マネジメントに関して、国際学会(IIAI AAI SCAI 2023およびIIAI AAI SCAI 2023 Winter)にて4本の論文を発表し、2本の論文を和文論文誌に投稿した。また、タスクシェアに関しても、1本の論文を論文誌に投稿した。その他、2023年度には、東京都立産業技術大学院大学紀要にて関連研究の研究速報を報告し、国内学会においても、人工知能学会全国大会、人工知能学会合同研究会SIG-SAI研究会、人工知能学会合同研究会SIG-DOCMAS研究会、計測自動制御学会社会システム部会研究会にて関連研究の発表を行った。また、論文誌へも3本の論文の投稿を行うことができた。 研究は、切れ目なく、連続的に進めている。2021年度から2022年度においてはタスクシェアを研究し、2022年度においてはリソースシェアを中心に研究を進めた。一方、当初予定していた「強化学習」を用いた研究計画からは少し離れてきている。しかしながら、強化学習のよるアプローチも有効であると考えられるので、今後は、その手法も試していく。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度では、2022~2023年度に開発したタスクシェアのための「動的タスク割り当て手法」(ヒューリスティックスをルールベースで表現したアルゴリズム)とは別に、リソースシェアのための「動的リソース割り当て手法」アルゴリズムを作成し、さらに、その応用分野として、リスキリング教育推進のための人材シェアや人材マネジメントの研究も実施した。これらの研究成果は、国内外の学会で順調に発表してきており、引き続き、論文誌投稿も進める。 研究計画作成当初では、強化学習技術に注目して、これまで開発してきた技術を発展させる予定であったが、社会実装に関連した応用研究にも力をいれたため、研究計画から方向性が少しずれてきた。しかしながら、強化学習も試すべき有力な技術の1つであるので、今後は強化学習も試し、これまで開発してきたアルゴリズムを改良を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
他の研究費を獲得したこともあり、一部の費用が浮いてきている。しかしながら、順調に研究成果を論文などで発表している。現在、研究を1年延長することを検討しており、その期間の研究費に充てる予定である。
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