2022 Fiscal Year Research-status Report
小売業における店舗内回遊モデルと購買モデルを統合した顧客行動モデルに関する研究
Project/Area Number |
21K12145
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
森田 裕之 大阪公立大学, 大学院情報学研究科, 教授 (80295732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 康之 大東文化大学, 経営学部, 教授 (20597512)
後藤 裕介 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (40454037)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | データマイニング / BLEビーコン / エージェントベースドシミュレーション / ID-POSデータ / 店舗内回遊モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,共通の顧客IDを持つ店舗内回遊履歴データと購買履歴データを併合した統合化購買行動履歴データを用いて,顧客の店舗内での回遊行動と購買行動の関係を統合的にモデル化し,顧客の店舗内での消費者行動を明らかにすることである.前年度は,特に店舗内回遊データの補完・修正アルゴリズムを改善し,マルチエージェントシミュレーションの結果を実データと比較して,十分な精度に近づけることに注力した研究を行っていた.今年度は,前年度の研究成果を踏まえ,購買行動モデルのアルゴリズム改善に焦点をあてて,研究を行った.具体的には,店舗内での商品エリアの滞在時間と当該エリアへの侵入のタイミングを説明変数として,購買確率を予測するモデルを構築し,このモデルに従って購買を行うエージェントを用いたマルチエージェントシミュレーションを行った.精度の評価においても,以前のシンプルなモデルと比較して,十分な評価値の改善を達成した.これらの研究成果としては,以下に記載の業績を含め,国内雑誌への論文として1件,国内学会での研究報告を2件,国際会議での報告を1件行った. ・後藤 裕介, 市川 尚, 白井 康之, 森田 裕之,“社会政策立案のためのエージェントベース社会シミュレーションにおける深い不確実性分析”,計測と制御,62(1) ,pp.21-26, 2023 ・名越 翔, 森田 裕之, 白井 康之,“店舗内エリアの滞在時間に着目した購買行動シミュレーションモデル”, 第31回計測自動制御学会 社会システム部会研究会,2023年3月 ・名越 翔, 森田 裕之, ”小売店舗内における顧客の滞在行動と購買行動に関する研究”, 経営情報学会 全国研究発表大会要旨集, pp.77-80, 2022年11月
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は,前年度の研究成果を踏まえ,購買行動モデルのアルゴリズム改善に焦点をあてて研究を行い,店舗内での商品エリアの滞在時間と当該エリアへの侵入のタイミングを説明変数とする購買確率を予測するモデルを構築,およびそれを利用したマルチエージェントシミュレーションによる評価値の確認を行った.精度の評価においても,従来のモデルと比較して結果の改善に成功している.モデル構築やシミュレーションの実施においては,研究課題に度々遭遇しているが,課題解決においては,ZOOM会議などを通じて共同研究者間で適切に会議を開催して対応が行えている. 今年度は当初予定していた購買モデルの改善を実施でき,またその研究成果として研究実績の概要で説明したような研究業績を上げることもできており,研究プロジェクトは,概ね順調に進展していると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は,共通の顧客IDを持つ店舗内回遊履歴データと購買履歴データを併合した統合化購買行動履歴データを用いて,顧客の店舗内での回遊行動と購買行動の関係を統合的にモデル化し,顧客の店舗内での消費者行動を明らかにすることであり,2023年度の研究内容に関する計画としては,2021年度,および2022年度の研究成果を踏まえ,店舗内回遊モデルにおける顧客の店内移動と購買行動をより実際のデータに近づけるフィッティングを行う.特に購買行動部分においては,いくつかクリアしたい課題が残っているため,それらを解決し,次年度の実際の購買プロモーションを想定したシミュレーションの実施に向けたベースを完成させたいと考えている. 研究成果については,2022年度までと同様に積極的に発表を行っていこうと考えている. また研究メンバー間でも,これまで実施が難しかった対面でのディスカッションの機会を積極的に設けながら,より活発な議論を行い研究内容の改善につなげていきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
2022年度における研究内容の進度自体は問題なかったものの,海外での発表や,研究メンバーでの対面によるディスカッションなどが予定していた通りに執行できなかった部分が存在したため,予算と使用額に差分が生じた. コロナの状況に依存するものの,ようやく国内会議,および国際会議が対面での開催を再開し始めており,研究成果については,これらの様子を見極めながら積極的に発表を行っていこうと考えている.また研究メンバー間でも,これまで実施が難しかった対面でのディスカッションの機会を積極的に設けながら, より活発な議論を行い研究内容の改善につなげていきたいと考えている.これらの計画を進めることで,予算の利用を進めたいと思っている.
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