2022 Fiscal Year Research-status Report
HCI技術と情報視覚化技術を利用した量子プログラミング学習システムの構築
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21K12174
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
笹倉 万里子 岡山大学, 自然科学学域, 助教 (30284087)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子プログラム / 教育支援 / シミュレータ / 視覚化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は量子ビットおよび量子ゲートに関する支援システムの拡張を行った.2021年度のシステムではドイチェ・ジョザのアルゴリズムを例題としていたが,2022年度はそれをグローバーのアルゴリズムを例題とするように拡張した.具体的にはグローバーのアルゴリズムで必要な量子ゲートを追加したこととグローバーのアルゴリズム用の教育支援コンテンツを開発したことである.グローバーのアルゴリズム用の教育支援コンテンツは,システムに実装された量子回路シミュレータを用いることを促すように作成した.量子回路シミュレータを併用して学習することでインタラクティブな学びが期待できる. 開発したシステムと教育支援コンテンツを用いて被験者実験を行った.実験は,紙媒体の解説書との比較実験である.この実験で明らかになったことは,教育支援コンテンツで丁寧に解説しかつ量子回路シミュレータを使用して学習した場合は紙媒体のみでの学習よりも学習効果が高まることが期待できること,理解に時間を要する事項に関しては教育支援コンテンツで紙媒体と同程度しか解説しない内容の場合は,紙媒体のみの方が学習効果が高くなる場合があることである.後者に関しては,被験者実験において紙媒体のみで学習した被験者の方が学習後の確認テストの結果がよかった.この要因は,一読してよくわからないような内容の場合,紙媒体しか資料がない場合はその資料を何度も読み返すが,量子回路シミュレータがある場合,シミュレータを操作することで「わかったような気になり」理解を深められなかったのではないかと推測される.ただし,被験者数が少なく,たまたま紙媒体のみの被験者の方が理解力に優れていたという可能性も否定できない.さらなる実験が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
システムの拡張および教育支援に関する知見は得られているが,視覚化手法に関する研究が進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,既存の量子アルゴリズムの解説に使われている図を網羅・体系化し,それらをシステム内に組み込むことを検討する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は,新型コロナウイルスの関係で国際学会に現地参加できず,計上していた旅費よりかかった経費が少なかったことである.2023年度は研究発表旅費を使用する予定である.また,システム構築の謝金についても支出を予定している.
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Research Products
(1 results)