2021 Fiscal Year Research-status Report
Visualization of student engagement and real-time process mining research on learning logs
Project/Area Number |
21K12183
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
土橋 喜 愛知大学, 現代中国学部, 教授 (00301622)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 学習分析 / 教育データマイニング / 学習管理システム / 時系列クロスセクション分析 / ヒートマップ / 学習ログ / プロセスマイニング / 同期率 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては、学習管理システム(LMS)のMoodleに搭載したPDFファイルの教材と小テストを活用して実際に授業を行いながら、研究に必要な履修者の学習ログの収集と蓄積を行った。筆者の研究では実際に授業を行いながら、分析に必要なデータを集める方針を取っており、授業中に時系列クロスセクションやグラフによる分析結果が得られることから、授業の進め方や履修者へどのように反映させることができるかを検討した。また前年度に行った授業において、授業の進め方との関連で課題となった教材の改善を行い、Moodle上の教材に反映させた。このような教材の改訂作業は毎年繰り返しており、学習ログにも影響があると思われ、教材閲覧の同期率の表示の改善と合わせて検討を行った。 またインタラクティブプロセスマイニングの考え方に基づいて、授業中の教材閲覧の履歴だけでなく、毎時間、毎日、毎週、毎月などの期間について、必要な部分を時系列に表示させる処理を検討した。これは教材閲覧の履歴は授業中と従業外を含めて、履修者が教材を開けば記録されるようになっていることから、月別などのように一定期間の終了に至るまでの途中経過について、前処理後に時系列クロスセクションと必要なインタラクションを行うことで、履修者の教材閲覧の途中経過をピボットテーブル上に可視化して再現する試みである。ピボットテーブルとインタラクションを行い、一部は月別に表示し、他の部分は毎時間ごとに教材閲覧の途中経過を表示するなどが可能になる。また収集した学習ログの分析は定期的に実施しており、改善した前処理システムとも関連させ、成果を論文にまとめ関連する国際会議で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学習管理システムに蓄積された学習ログにはいろいろな特徴を見出す可能性が秘められている。そのような背景において、個々の学習者ごとに学習パターンを把握できると、それぞれのパターンに対応した指導が可能になる。そこで学習管理システムに記録された教材閲覧履歴や小テストから、特徴のある学習パターンを見出す研究を継続した。2021年度は授業への取り組みが不十分な特徴を示す学習パターンを分類する手法の改善を行った。学習パターンの研究は以前からアンケート分析を活用して主に手作業で行われていたが、今後は学習管理システムとオンライン教材などの学習ログを活用する方法に可能性があると考え、システム開発による学習パターンの分類方法の検討を行っている。 また学習パターンの分類を定量的に把握する方法を検討しており、分類結果が数値で得られれば、ヒートマップの開発につなげることができると考え取り組んでいる。学習パターンを反映したヒートマップが適切に描画できれは、授業への集中度を可視化できる可能性が高まると考え、試作を繰り返している。今後は履修者だけでなく教師も含めてお互いに授業に集中しているかどうかを評価することが極めて重要な課題と考え、取り組みのレベルを考察するために現状で可能性のある分析方法と可視化の手法を検討した。以前からヒートマップを活用することが様々な分野で行われていることを参考にして、授業への取り組みをヒートマップで表現する研究を継続している。当該年度は学習管理システムに蓄積された教材閲覧履歴と小テスト得点データから学習パターンを抽出する方法を研究し、成果は論文にまとめ関連した国際会議で報告した。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒートマップは授業中の教材閲覧などのほかに、テスト終了後などいくつかの段階で活用することができると思われることから、教材閲覧履歴やテスト得点などの分析方法の研究を継続する。また学習パターンの抽出やヒートマップ生成に活用できそうなデータの範囲を拡大して、分析の精度を高める検討が必要と考える。学習ログは授業をやっている間は常に増加していくのでデータベース化を行い、学習パターンの抽出やヒートマップの作成時に活用できるようにする。 さらに実際に開発中のシステムを授業中に試用した経験から、多くの教員のために授業支援を実現するには、システムが自立して動作し、教師の負担を軽減することが望まれる。そのため関連する分野の研究を参考にして、自立して高速に動作する機能を研究する。加えて学習管理システム、前処理システム、可視化機能(エクセルピボットテーブル)との統合方法を見直し、より早く処理が完了する方法を研究する。当該年度から時系列クロスセクションによる分析結果や、教材閲覧の同期率を確認しながら授業を行ったが、授業中は詳しく見ている時間が少ないときも多いため、授業改善にどの程度役立つか検証する必要がある。 時系列クロスセクションによる教材閲覧履歴の分析結果、ヒートマップ、同期率のグラフなどを、授業に参加した履修者へ公開し、授業評価アンケートを活用して、履修者に与える効果を検証する。履修者に分析結果を公開する場合は、個人情報保護が重要になるため、事前に公開方法についての調査も行う。国際的に公表する場合は地域による法的な差異も考慮に入れる必要がある。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の世界的な流行により、参加を予定していた国際会議への出張や国内研究会などへの出張の取りやめにより旅費が未使用となったこと、および国際会議参加の取りやめによりネイティブチェックの人件費・謝金が未使用になったため。また機器備品の購入を次年度に繰り越すことにしたため。いずれも次年度に実行する予定。
|