2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an application for self-cognitive change to reduce stress caused by human relationships
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21K12197
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
塩野目 剛亮 帝京大学, 理工学部, 講師 (30466677)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 職場うつ病予防 / 自己認知 / 人間関係 / 心理的距離 / コミュニケーションモデル / シミュレータ / ゲームアプリ / メンタルヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は,職場うつ病予防のための人間関係可視化シミュレータについて検討を重ねてきた. これまでの成果は,職場の人間関係をメッセージのやりとりによって変動する心理的距離として表現し,コミュニケーションモデルを構築し,シミュレータを開発してきたことである.本研究課題では,うつ病予防にとって重要と考えられる自己認知の変容に着目しており,ゲームアプリによってその変容を測ることに主眼をおいている. 2021年度は,文献調査をもとにコミュニケーションモデルを更新し,個人間のやりとりが当事者同士の心理的距離に影響するだけでなく,周囲の人たちの心理的距離にも波及するモデルについて検討した.また,これまで開発してきたシミュレータをもとに,ゲームアプリの様々なプロトタイプシステムを構築し,ユーザインタフェースデザインの検討を進め,モデルで想定される現象をアニメーションによって可視化する動的なシミュレータのプロトタイプを開発した. 本年度3月にはこれまでの研究成果を社会に還元し,研究に参画いただける企業を募集すべく,検討結果と今後の展望をまとめて「とちぎテックプラングランプリ」にてファイナリストとして発表し,企業賞「栃木精工賞」を受賞した.発表の場では地域の企業の経営者らから現場でシステムを使用するための課題や可能性について多くのコメントをいただくことができた. ※「とちぎテックプラングランプリ」は主催である株式会社リバネスが組織する「とちぎ次世代産業創出・育成コンソーシアム」によって運営されている栃木県内の企業・大学・地方公共団体・金融機関が連携して新たな産業を創出しうる新技術シーズを発掘・育成することを目的としたプログラム「とちぎテックプランター」における活動の一環として開催されている技術・事業プランコンテストである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は自己認知と精神的健康との関連についてのモデル化を文献調査によって進めることを予定していたが,あらたな分野の知見を取り入れたため,その集約に多くの時間を費やした. また,同時にこれまで検討を重ねてきた静的・動的シミュレータをアニメーション機能を持つゲームアプリの形式にするための開発作業にも遅れが出ている.日常的なセルフモニタリングに使用してもらうためには,よくデザインされたアプリが必要不可欠であるが,新たな開発のフレームワークの修得に時間がかかっていることが遅れの原因と考えている. 今後,情報収集や開発作業の一部を外注することによって遅れを取り戻す予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
ある企業で行われている社員のメンタルヘルス改善のための取り組みに,本研究で開発しているメソッドを融合し,のべ100人の実社会データの収集を進めていく予定である.同社で活用されている「感謝の気持ちをポイントとして他人へ贈ることのできるアプリ」と,本研究で開発中のモデル・シミュレータを接続し,より良い人間関係の構築と生産性の向上を目指す. ポイントのやりとり・精算を本研究のメッセージの送受信に見立てて,心理的距離の変動を可視化したり,個人特性を分析したりして,得られた知見からモデル・シミュレータ(ゲームアプリ)を改善し,従業員にとっては気軽に・こまめなデータ入力,日常的なメンタルヘルスのセルフモニタリングを実現し,経営者にとっては,統合・分析されたデータをもとにメンタルヘルス対策の有効性を確認できるよう,経営者・従業員の双方にとって使いやすいシステム構築を目指す. 構築したシステムを対象企業の社員に継続的に利用してもらい,個人間のやりとりの実社会データを収集し,個人特性の分析や心理的距離の変化を可視化を行うとともに,アプリとしての利便性についても評価していく予定である. また,任意のシステムとの接続性を向上するため,API化についての検討も進めていく.具体的には,各種のコミュニケーションアプリやSNSのやりとりのデータを,シミュレータで扱える数値データに落とし込み,心理的距離の変動を観察できるようにするものである.
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Causes of Carryover |
2021年度は,本研究を進める上で重要な理論面を固めるための情報収集に多くの時間と助成金を費やしたが,コロナ禍の影響で予定していた出張がすべてキャンセルされたため,旅費の支出が0となった. 2022年度は当該システムをもとにした実験システムの構築とこれを使用した実験に必要な経費,ならびに成果の公表に必要な投稿や掲載にかかる費用,必要な旅費について助成金を使用する計画である.
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