2021 Fiscal Year Research-status Report
衛星観測データを用いた冬季日本海の大気海洋相互作用に対する海洋変動の影響の研究
Project/Area Number |
21K12204
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
江淵 直人 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (10203655)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 衛星リモートセンシング / マイクロ波センサ / 冬季日本海 / 大気海洋相互作用 / 降雪機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,冬季日本海の大気海洋相互作用と日本海沿岸域での降雪に対する海洋変動の役割を明らかにすることを目的として,衛星観測データを複合的に利用し,現場観測・気象解析データと組み合わせた解析を行う.特に,マイクロ波放射計,散乱計,高度計など各種のマイクロ波センサの実用化により,雲の影響を受けない海面観測が可能になった.衛星搭載マイクロ波センサのデータは,現在まで20年以上にわたる蓄積があり,経年変動の研究への応用も可能になってきた.日本海南部を流れる対馬暖流の流路や強さの変動,それにともなって北緯40度付近に形成される極前線の位置や強度の変動が,海洋から大気への熱・水蒸気の輸送や降雪にどのような影響を与えるかを定量的に明らかにすることを目指す.寒気の吹き出しにともなう流下方向のスナップショットの解析から始めて,季節変動,経年変動の時間スケールまでをカバーする計画である. 今年度は,初年度として,本研究に使用する各種観測データ,気象解析データ等を収集し,計算機環境を含めた研究基盤の整備を行った.また,天気図や静止気象衛星画像等を参考にして,冬季の寒気吹き出しが継続する期間を選び,スナップショットの解析を開始した.計画時に想定していたよりも,熱・水蒸気輸送や降雪に関連する要因が非常に複雑であり,今後の解析方法について再検討が必要であることが判明した.現在,典型的な事例の解析を進めながら,今後の方向性を模索中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度に計画した,各種観測データ,気象解析データ等の収集や計算機環境を含めた研究基盤の整備はほぼ完了し,冬季の寒気吹き出しが継続する期間を選んだスナップショットの解析を開始した.一部,解析方法の再検討が必要となったが,想定の範囲内であり,事例解析を進めながら解決できるものと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度に開始したスナップショット解析を継続して行い,海洋構造と海面熱フラックス,水蒸気輸送および降雪の間の関係を定量的に明らかにする.日本海の海洋構造の変動が,大気海洋相互作用や降雪に寄与する,という仮説の実証を試みる.令和5年度以降は,スナップショット解析の結果をもとに,季節変動,経年変動の時間スケールの解析を行う予定である.
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Causes of Carryover |
今年度予定していた国際ワークショップにおける研究成果発表,情報収集,および国内外の研究協力者との研究打ち合わせなどがコロナ禍の影響で実施できず,予算を繰り越した.次年度,状況が改善すれば,同じ目的で使用する予定である.
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Research Products
(4 results)