2021 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of inorganic and organic nitrates transboundary transported from the Asian continent including their state
Project/Area Number |
21K12210
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
定永 靖宗 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70391109)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 環境計測 / 有機硝酸 / 無機硝酸 / 越境汚染 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジア地域では近年、窒素酸化物の排出の寄与が相対的に大きくなっており、東シナ海縁辺地域において、窒素酸化物由来の越境汚染の重要性が高まっている。硝酸態窒素は窒素酸化物由来の主要な越境大気汚染物質であるが、東シナ海縁辺地域で硝酸態窒素を詳細に調べた研究例はほとんどない。本研究では、越境汚染を強く受ける西日本の清浄地域で、硝酸態窒素について存在状態別でかつ、無機・有機別での連続観測を実施する。得られたデータを解析し、様々なパターンで越境輸送される大気中の無機・有機硝酸について、存在状態を含めた動態を明らかにする。 最初に、補助事業期間より1ヶ月早い令和3年3月から、同年6月までの期間に無機硝酸の存在状態別での観測を実施した。また、無機・有機硝酸の同時連続観測については、令和3年秋頃に開始予定であったが、Covid-19の影響により観測開始時期が遅れ、令和4年1月に観測を開始した。現在まで大きなトラブルは生じていないが、令和3年度終了時点で、有機硝酸については、解析するのに十分なデータが揃っていないため、詳細な解析については進んでいない。 一方、無機硝酸については令和3年3月から同年6月までの期間における観測結果の解析を実施した。無機硝酸のガス・粒子分配比は平均でガス態が約17%、粒子態が約83%であった。観測期間中に数回、大陸から汚染物質が越境輸送されてきたと考えられる、越境汚染イベントが観測され、これらのイベントについて予備的な解析を行った。また、日内変動についても調べた。粒子状無機硝酸については、午前中と夕方頃に高くなる日内変動が見られたが、変動割合は小さかった。ガス状無機硝酸に関しては日中に高く、夜間に低くなる日内変動が見られ、変動割合も最大値が最小値の 3 倍程度と大きかった。これらの日内変動の要因については、今後観測事例、データを積み重ね、更なる解析を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度の研究計画は、長崎県福江島で無機硝酸と有機硝酸の同時連続観測を実施するための準備を行い、実際に令和3年秋頃から観測を開始することであった。同時観測についてはCovid-19の影響により、当初予定より観測開始が2ヶ月程度遅延したが、無機硝酸については、装置の改良が事前に行えたため、補助事業期間前の令和3年3月から開始した。また、現時点で連続観測に支障をきたす大きなトラブルは生じておらず、おおむね順調に進展している状況と考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現時点ではおおむね計画通りに進んでいるため、令和4年度においても当初計画通りに進める予定である。具体的には、現在の観測を令和4年の夏前まで継続して実施する。また、令和4年の秋頃に観測を再開する。一方、現在実施している観測結果を用いて、本格的な解析を開始する。具体的には、硝酸態窒素の無機・有機別、存在状態別での観測自体が初めてであるため、まずはそれぞれの濃度レベル、ガス・粒子分配比、無機・有機の比率についての知見を得る。また、大陸からの越境汚染が起こっている事例を抽出し、福江島で同時に観測を行っている種々の大気汚染物質との関係性を調べる。
|
Causes of Carryover |
(理由) 計上していたNOx計コンバータカートリッジを令和3年度内に購入する必要がなくなったことや、Covid-19の影響により、年度内に納品が間に合わなかった消耗品があったなど、予定よりも消耗品費の支出が少なくなり、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額分の一部は、消耗品費の購入に充てる。また、装置のメンテナンスや、学会発表のために生じる旅費を中心に使用して研究を進める予定である。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 富士山南東麓森林域におけるNOx 酸化物質(NOz)の特徴2021
Author(s)
和田龍一, 定永靖宗, 加藤俊吾, 大河内博, 森樹大, 三浦和彦, 小林拓, 鴨川仁, 皆巳幸也, 松見豊, 梶野瑞王, 松本淳, 米村正一郎, 速水洋, 土器屋由紀子, 畠山史郎
Organizer
第62回大気環境学会年会
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 2020 年夏季京都市内での実大気観測によるオゾン生成レジームの直接評価2021
Author(s)
村岡達也, 定永靖宗, 野尻亮太, 大原和, 河野七瀬, 黎珈汝, 坂本陽介, 中嶋吉弘, 佐藤圭, 加藤俊吾, 中山智喜, 松岡雅也, 椎木弘, 梶井克純
Organizer
2021年度大気環境学会近畿支部研究発表会