2022 Fiscal Year Research-status Report
Analyses of inorganic and organic nitrates transboundary transported from the Asian continent including their state
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21K12210
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
定永 靖宗 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70391109)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 環境計測 / 有機硝酸 / 無機硝酸 / 越境汚染 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
東アジア地域では近年、窒素酸化物の排出の寄与が相対的に大きくなっており、東シナ海縁辺地域において、窒素酸化物由来の越境汚染の重要性が高まっている。硝酸態窒素は窒素酸化物由来の主要な越境大気汚染物質であるが、東シナ海縁辺地域で硝酸態窒素を詳細に調べた研究例はほとんどない。本研究では、越境汚染を強く受ける西日本の清浄地域で、硝酸態窒素について存在状態別でかつ、無機・有機別での連続観測を実施する。得られたデータを解析し、様々なパターンで越境輸送される大気中の無機・有機硝酸について、存在状態を含めた動態を明らかにする。 令和4年度では、令和3年度末から引き続き、五島列島福江島において無機・有機硝酸の連続観測を令和4年5月まで実施した。また、同年11月から連続観測を再開し、令和5年5月まで実施予定である。 前年度の概要では主に無機硝酸の解析結果を述べたので、本年度の概要では、主に令和4年2月から5月にかけて測定された有機硝酸の解析結果について説明する。なお、有機硝酸のうち過酸化物のものをPNs、そうでないものをONsと定義する。PNs, ONs ともに 3 月に濃度が最大となった後、4, 5 月にかけて濃度が減少する傾向が見られた。この濃度減少については、4, 5 月にかけて日射量が増加し、OH ラジカル濃度や気温が高くなったことによることが原因の一つとして考えられる。また、2, 3 月においては、中国から直接福江島に到達した気塊の PNs, ONs 濃度が高い傾向にあったが、4, 5 月においては直接ではなく、朝鮮半島を経由した気塊のほうが、PNs, ONs 濃度が高い結果が得られた。この理由として、大陸から福江島へ到達する気塊の輸送時間と、PNs, ONs の大気寿命の関係性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究計画は、令和4年5月まで長崎県福江島で無機硝酸と有機硝酸の同時連続観測を実施し、同年秋頃から観測を再開することであった。先年度秋からの観測についてはCovid-19の影響により、当初予定より観測開始が2ヶ月程度遅延したが、今年度は予定通り観測を開始することができた。また、現時点で連続観測に支障をきたす大きなトラブルは生じておらず、おおむね順調に進展している状況と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点ではおおむね計画通りに進んでいるため、令和5年度においても当初計画通りに進める予定である。具体的には、現在の観測を令和5年の夏前まで継続して実施する。また、令和5年の秋頃に観測を再開する。一方、現在実施している観測結果を用いて、本格的な解析を開始する。具体的には、大陸からの越境汚染が起こっている事例を抽出し、福江島で同時に観測を行っている種々の大気汚染物質との関係性を調べる。特に、硝酸態窒素の主なカウンターパートであるアンモニア、アンモニウム塩との関係、また、硫酸塩との関係性について、詳細に解析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 計上していたNOx計コンバータカートリッジを令和4年度内に購入する必要がなくなったことや、NOx計やCAPS-NO2計を保守点検に出す必要がなくなったなど、予定よりも支出が少なく済み、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額分の一部は、消耗品費の購入に充てる。また、装置のメンテナンスや、国内外の学会発表のために生じる旅費、および論文投稿料を中心に使用して研究を進める予定である。
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Research Products
(19 results)
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[Journal Article] Spatiotemporal differences on the real-time physicochemical characteristics of PM2.5 particles in four Northeast Asian countries during Winter and Summer 2020-20212023
Author(s)
Y. Ha, J. Kim, S. Lee, K. Cho, J. Shin, G. Kang, M. Song, J. Y. Lee, K.-S. Jang, K. Lee, J. Ahn, Z. Wu, A. Matsuki, N. Tang, Y. Sadanaga, A. Natsagdorj, and C. Kim
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Journal Title
Atmospheric Research
Volume: 283
Pages: 106581
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Impacts of missing OH reactivity and aerosol uptake of HO2 radicals on tropospheric O3 production during the AQUAS-Kyoto summer campaign in 20182022
Author(s)
N. Kohno, J. Zhou, J. Li, M. Takemura, N. Ono, Y. Sadanaga, Y. Nakashima, K. Sato, S. Kato, Y. Sakamoto, Y. Kajii
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Journal Title
Atmospheric Environment
Volume: 281
Pages: 119130
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Spatial distribution of PM2.5 chemical components during winter at five sites in Northeast Asia: High temporal resolution measurement study2022
Author(s)
N. K. Kim, Y. P. Kim, Y. S. Ghim, M. J. Song, C. H. Kim, K. S. Jang, K. Y. Lee, H. J. Shin, J. S. Jung, Z. Wu, A. Matsuki, N. Tang, Y. Sadanaga, S. Kato, A. Natsagdorj, S. Tseren-Ochir, B. Baldorj, C. K. Song, J. Y. Lee
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Journal Title
Atmospheric Environment
Volume: 290
Pages: 119359
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] 富士山太郎坊における越境汚染の通年観測手法の開発検討2023
Author(s)
佐藤颯人 , 和田龍一, 定永靖宗, 加藤俊吾, 大河内博, 三浦和彦, 小林拓, 皆巳幸也, 鴨川仁, 松本淳, 米村正一郎, 松見豊, 梶野瑞王, 速水洋, 畠山史郎
Organizer
認定NPO法人 富士山測候所を活用する会 第16回成果報告会
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[Presentation] 2022年夏季つくば市での実大気観測によるオゾン生成レジームの直接評価2022
Author(s)
大口陽暉, 村岡達也, 定永靖宗, 黎珈汝, 坂本陽介, 佐藤圭, 森野悠, 井上和也, 中嶋吉弘, 加藤俊吾, 椎木弘, 梶井克純
Organizer
2022年度大気環境学会近畿支部研究発表会
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[Presentation] 富士山頂と富士山5合目太郎坊におけるNO、NO2、NOy濃度の計測2022
Author(s)
佐藤颯人, 和田龍一, 定永靖宗, 加藤俊吾, 大河内博, 森樹大, 三浦和彦, 小林拓, 鴨川仁, 皆巳幸也, 松見豊, 梶野瑞王, 松本淳, 米村正一郎, 速水洋, 畠山史郎
Organizer
第63回大気環境学会年会
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[Presentation] 2020 年夏季京都市内におけるオゾン生成レジームの実測による評価2022
Author(s)
村岡達也, 定永靖宗, 野尻亮太, 大原和, 河野七瀬, 黎珈汝, 坂本陽介, 中嶋吉弘, 佐藤圭, 加藤俊吾, 中山智喜, 松岡雅也, 椎木弘, 梶井克純
Organizer
第63回大気環境学会年会
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