2022 Fiscal Year Research-status Report
Estimating conditions of dust-storm outbreaks in the interior of valleys between mountain ranges
Project/Area Number |
21K12212
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
松島 大 千葉工業大学, 創造工学部, 教授 (50250668)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダストストーム / 湖沼谷 / モンゴル / 熱慣性 / PM10 / 地上植生 / 強風 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度には、(1)モンゴル国において研究遂行に必要な測定機器の設置を完了した。また、(2)地表面熱収支モデルと衛星・気象データを用いた研究対象地域における熱慣性値の計算を進めた。 本研究の目的は対象地域であるモンゴル国中央部の湖沼谷におけるダストストームの発生条件を地表面と気象条件の双方から明らかにすることである。なお、湖沼谷はモンゴル国内で最もダストストームが発生しやすい地域の一つとみなされていて、日本に到達する黄砂の発生地として重要と考えられる地域である。 (1)は、対象地域である湖沼谷において、同国で行われている定常的な気象観測データでは十分に把握できないダストストームの発生状況を把握するために実施されるものである。当初計画では2021年度に設置する予定だったが、新型コロナウィルス蔓延の影響により同年度にはモンゴル国に渡航できなかったことから延期を余儀なくされたが、2022年度には渡航できるようになったために、当初予定していた2地点に8月に設置することができた。現状において2地点とも観測を継続しており、データが蓄積されつつある状況である。 (2)は、湖沼谷における地表面付近の土壌水分の空間分布と時系列変化を算定するために実施するものである。なお、地表面付近の土壌水分はダストストーム発生条件を判断するのに重要な変数の一つである。2022年度までに湖沼谷とその周辺地域における熱慣性値の算定に必要な衛星データと気象データの入手をほぼ終了し、定常気象観測データからダストストームの発生が確認されている日を中心に順次計算を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
進捗状況が遅れていると判断された理由は、(1)対象地域におけるダストストーム発生状況の観測開始が遅れたこと、(2)対象地域における地上植生の状況に関する研究遂行が遅れていることが挙げられる。 (1)については、【研究実績の概要】においても述べたように新型コロナウィルス蔓延の影響によりモンゴル国への渡航が研究開始当初より制限され、2022年になってようやく観測を開始できたものの研究遂行に必要なデータの蓄積が不十分であることから、当初の研究計画からの遅れが否めないと判断された。 (2)については、研究開始当初から続いていた所属機関におけるさまざまな新型コロナウィルス対応、ならびに地表面付近の土壌水分算定にこれまで時間を要していたことから、研究をあまり進捗させられずにいた、つまり本研究に割けるエフォートが下がらざるを得なかったためである。 今後は新型コロナウィルスに関する対応が好転していることから、残りの研究期間内に(1)(2)を含めた研究計画を当初のエフォートによって進められる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は、モンゴル国中部の湖沼谷においてダストストームの発生条件を地表面と気象の双方の条件から明らかにすることである。湖沼谷はモンゴル国においてダストストームの発生が特に多い地域とみなされていて、日本に到達する黄砂の発生地としての重要性もある。この目的を達成するために、対象地域にダストストームの発生状況を把握するための観測機器を設置するとともに、地表面の土壌水分と植生の分布と時系列変化を推定するために地表面熱収支モデルと衛星・気象データを用いた解析、ならびに各種気象データを用いた対象地域とその周辺における強風発生時の解析を進めている。 これまでにダストストームを発生させるような北風または西風の強風が、北方からの寒気の強い移流によって概ね引き起こされていることを明らかにした。今後はいずれも対象地域における次の各点について重点的に取り組み、研究最終年度として取りまとめを行う。 (1)観測データの蓄積とダストストーム発生事例におけるデータの解析 (2)地表面付近および地表植生の土壌水分空間分布の時系列変化を2000年以降について推定する (3)(1)と(2)を総合してダストストームが発生する地表面と気象の双方の条件を明らかにする 当初の研究計画より遅れている部分、特に地上植生に関する部分はこれまで新型コロナウィルス蔓延のために本研究に割けるエフォートが下がっていた分が予定通りに回復することから、年度内に達成できる見込みである。
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