2021 Fiscal Year Research-status Report
西部北太平洋縁海における珪質微化石を用いた海洋環境復元
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21K12222
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡崎 裕典 九州大学, 理学研究院, 准教授 (80426288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 丈尚太郎 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), 主任研究員 (50467859)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 珪質微化石 / 西太平洋縁海 / 最終氷期・最終退氷期 |
Outline of Annual Research Achievements |
東シナ海海底堆積物試料中の珪藻群集解析に基づく最終氷期以降の表層水塊変動復元についての論文を執筆し国際誌に出版した(Shirota et al., 2021, Progress in Earth and Planetary Science, 8:66)。最終氷期の東シナ海北部では海水準低下に伴い低温高栄養塩の大陸系沿岸水が被覆していたが、最終退氷期の海水準上昇により高温低栄養塩の黒潮が勢力を強化していった過程を珪藻群集組成変化から明らかにした。珪質鞭毛藻群集の季節変動を明らかにするため、北西太平洋の沈降粒子試料中の現生珪質鞭毛藻群集の分類と計数を進めた。日本海堆積物試料中の珪質鞭毛藻群集データの解析を進め最終氷期の水温復元を行った。特にマイナー種の取り扱いを堆積物試料ごとに統一したところ最終退氷期の期間の連続的な水温復元が可能となった。また日本海堆積物試料の年代モデルを更新し最終退氷期の層準の1000年スケールの議論が可能となった。ベーリング海の西部と南部から採取した2本の海底堆積物試料中の珪藻および放散虫群集解析を進め、最終氷期のベーリング海における海氷被覆状況と中層水形成を議論した。その結果、最終氷期から退氷期にかけてベーリング海西部に海氷が被覆し。中層水が活発に形成されていたことが示唆された。外国人特別研究員を受け入れ、電動ステージ顕微鏡を用いた放散虫群集の自動分類システムの整備を行った(課題番号:21F50807)。このシステムは本研究課題の推進にも有効である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東シナ海堆積物試料中の珪藻群集解析結果についての論文を計画通り出版できた。 日本海の珪質鞭毛藻群集のモダンアナログ法による海表面水温復元については、堆積物試料の年代モデルと水温復元については計画通り進められたが、写真を含むデータセット構築に時間を要している。 ベーリング海堆積物試料中の放散虫および珪藻群集解析は計画通り進んだが、ベーリング海南部の堆積物試料の年代測定結果に先行研究と一致しない点が見つかった。 外国人特別研究員を受け入れ、電動ステージ顕微鏡を用いた放散虫群集の自動分類システムの整備ができた点は計画以上の進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
珪質鞭毛藻群集のデータベースを構築し、日本海の珪質鞭毛藻群集のモダンアナログ法による海表面水温復元を論文にまとめる。ベーリング海堆積物試料の年代モデルの見直しを行う。北太平洋域における放散虫群集と珪質鞭毛藻群集の自動分類のため電動ステージ顕微鏡を用いた微化石個体の写真撮影を進め分類のトレーニングを行う。東シナ海の研究航海に参加し。海水試料および海底堆積物試料を取得する。
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Research Products
(2 results)