2021 Fiscal Year Research-status Report
高水素濃度下でX線被ばくが及ぼす生物学的影響の検証
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21K12233
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊達 広行 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10197600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 香織 北海道大学, 保健科学研究院, 助教 (80344505)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高水素濃度 / X線被ばく |
Outline of Annual Research Achievements |
培養細胞液の高濃度水素条件を実現する上で必要な、バブリング方式の水素ガス発生装置と水素濃度測定器を購入した。純水を用いて高濃度水素水を生成し、水素濃度がどの程度になるかを測定した。この測定において、発生装置の初期状態や反復作業に依存して水素濃度の検出結果に比較的大きなバラツキがあることが判明したため、種々の条件にて繰り返し水素水生成試験を行った。水素水の抽出直後濃度とその後6時間程度までの水素濃度変化を調べ、最大1ppm程度の水素濃度が得られること、また時間とともに指数関数的に減少することを確認した。この水素濃度の経時変化を基に、細胞へX線を照射するタイミングと、免疫蛍光染色法による細胞核内DNA二本鎖切断(DSB)数の観測やコロニーアッセイによる細胞生存率測定などの手順について、対照実験のための幾つかの有効と考えられるプランを考案した。 一方、高濃度水素環境下での細胞の放射線によるダメージについて、高濃度水素条件下と対極にある高濃度酸素下での解析を踏襲したアプローチとして、照射面積による効果を観測する実験系や、損傷低減を組み入れた細胞生存率のモデル化の可能性について検討した。特に放射線の非標的効果について、高水素濃度下では低酸素環境下における状態と類似した結果をもたらす可能性があり、その検証に向けた正確な水素濃度環境における照射実験を模擬する微視的線量動力学(MK)モデルの改良を視野に入れて解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水素ガス発生装置と水素濃度測定器の導入の遅延により、高濃度水素水に関する試験が遅れた。また、生成水の水素濃度に大きな変動がみられたことから、安定かつ信頼性の高い水素濃度の下での細胞照射実験に向けて、より慎重な事前試験が必要であることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
導入した水素水発生器の特性と水素濃度の時間変化について、特性をほぼ把握したことから、次に培養細胞へのX線照射実験を行う。細胞株と照射タイミングを適切に設定し、通常状態と高濃度水素下との比較に向けて、有効な実験プランを実行する。細胞損傷の観測は、まずは免疫蛍光染色法によって細胞核内DNA二本鎖切断数を調べることとする。
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Causes of Carryover |
物品費に計上していた水素水生成器2タイプのうち1台のみをまず購入したこと、またコロナ禍にあって国内外の出張が制限されたため旅費をあまり使用しなかったことによる。 今後、実験条件を達成するために、必要に応じて別のタイプの水素生成器や水素濃度計を購入する予定である。また成果報告を主目的とした出張旅費として、令和3年度の残額分も使用する可能性がある。
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[Journal Article] Meeting Report on “The 6th Educational Symposium on Radiation and Health by Young Scientists (ESRAH2019)”2021
Author(s)
Hasegawa K, Kitayama Y, Nugraha ED, Yachi Y, Naijo S, Miyao T, Seino R, Shiroto Y, Tsujiguchi T, Nakamura T, Date H and Kashiwakura I
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Journal Title
Radiation Environment and Medicine
Volume: 10 (2)
Pages: 108-114
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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