2022 Fiscal Year Research-status Report
Cellular responses to DNA double-strand breaks caused by transcription stress
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21K12245
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
逆井 良 金沢医科大学, 医学部, 講師 (10549950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 良太郎 東京工科大学, 応用生物学部, 准教授 (80446525)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA二本鎖切断 / 転写 / カンプトテシン / DNAトポイソメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
カンプトテシン(CPT)はDNAトポイソメラーゼI(Top1)の阻害剤であり、Top1がDNAに共有結合したTop1-DNA cleavage complex(Top1cc)を蓄積させる。Top1ccは転写を強く抑制してストレス応答を引き起こすが、その際に転写と関連したDNA二本鎖切断(transcription-coupled DSB:tc-DSB)を生じることが分かっている。しかし、tc-DSBの発生および修復機序は不明である。我々はDNAヘリカーゼであるRecQL5がtc-DSBの発生を抑制することを見出しており、RecQL5に注目した解析から、tc-DSBの生成及び修復機構を解明することが本研究の目的である。tc-DSBは神経細胞のような増殖していない静止期の細胞でも生じるDNA損傷であり、本研究の成果は神経疾患の病態解明につながることも期待される。 これまでに、転写共役ヌクレオチド除去修復(TC-NER)およびRecQL5がtc-DSB生成に関わることを見出しており、DNAヘリカーゼで解かれるようなDNAの二次構造が発生し、その構造がtc-DSBの生成に関わると考えられる。TC-NERに関しては、CSBおよびCSAのノックアウト細胞を作成し、その関与を確認した。DNAの二次構造としては、DNA-RNA hybridを持つR-loopや、グアニンが多い領域で生じるグアニン4重鎖(G4)構造等を想定した。これまでのところ、R-loopに関しては、tc-DSBの発生に顕著な影響はみられていない。G4構造に関しては、G4検出系の条件検討が難航しており、具体的な影響については検証中である。tc-DSBの修復経路に関する研究としては、DSB修復因子LIG4の関与が示唆されたが限定的であったため、現在はLIG4以外の因子の特定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの解析で、CPT処理時に特徴的な53BP1のfoci形成が転写依存的に観察されることがわかっており、この53BP1 foci をtc-DSBの指標として解析を進めている。tc-DSBを引き起こす可能性のあるDNA二次構造については、RNaseHがDoxycyclinで発現誘導される細胞を作成し、53BP1 fociへの影響を検証したが、顕著な影響は見られず、R-loopの関与は現在までのところ観察できていない。G4構造については、特異的抗体を用いた免疫染色によって評価しようと、染色条件の検討を重ねているところであり、具体的なデータの取得には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
tc-DSBを引き起こすDNA二次構造については、引き続きG4構造についての解析を進める。G4構造の検出系が出来上がり次第、RecQL5のG4構造への影響を検討する。また、G4構造を安定化するPyridostatinを用いて、CPTによるtc-DSB生成への影響について解析を行う。TC-NERのtc-DSB 発生への関与については、TC-NER経路のDNAヌクレアーゼであるXPGやXPFについて解析を行う予定である。 LIG4ノックアウト細胞の解析から、少なくともNHEJ経路がtc-DSBの修復に関わることが示唆されたが、その寄与は限定的であり、別の因子の関与も考えられる。そこで、別の修復経路にも解析範囲を広げて、修復経路の同定を試みる。さらに、tc-DSBは神経細胞のような分裂をしない細胞でも生じると考えられ、神経障害との関連も予想されることから、神経細胞を用いてtc-DSBとRecQL5の関連についての解析を行い、神経細胞運命への影響を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
必要な実験試薬類は適宜購入していたが、研究があまり順調に進んでいないことが原因で年度末までに未使用金が発生していると考えられる。次年度の研究費とあわせ、物品や旅費に充てるなど適切に使用予定である。
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Research Products
(4 results)